葵IF➇
「ねぇ、先輩、本当に夏休みどこにもいかないんですか?」
「行っても、母さんの墓参りくらいだな。全国大会の結果も報告したいし、あとはいつもの道場やネット将棋をたまにやるくらいで」
「そうなんですか。なら、あとで私の買い物に付き合ってくれませんか? お昼くらいはご馳走するので」
「うん、いいよ」
「えっ!?」
「えっ、だからいいよって」
「いいんですか、本当に?」
「うん、いいよ。俺みたいな陰キャが葵ちゃんから、誘ってもらえるなんて最高に幸せだな」
「この前のこと、根に持ってませんか」
「全然」
「嘘だ~ でも、本気にしちゃいますよ。めちゃくちゃ楽しみにしていますからね」
「うん、俺も楽しみにしているよ」
そう言って笑う桂太先輩のベロは少しだけ青かった。たぶん、さっき食べたかき氷の青さだ。
「先輩、口の中、真っ青ですよ」
「あっ、さっきのブルーハワイか」
「しまらないな~」
私がそう言うと先輩はバツが悪そうな顔をしていた。
「でも、先輩のそう言うところ、大好きですよ」
「ありがとう。茶化したフォローでも嬉しいよ」
「なに言ってるんですか……」
「えっ?」
「ふざけないとなかなか言えないじゃないですか。『大好き』だなんて」
私たちはそう言って、二人で顔を赤く染めた。
次回は明後日の水曜日の23時を予定しています。
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