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第四百五十七話 はじまりとおわり

「来たわね、かな恵ちゃん」

「部長……」

 私は、盤の前に座る部長を見つめた。


 部長は、高校三年間で安定した成績を残している。

 全国大会にも何度も出場しているし、その実力は、県内であれば大人も含めてトップレベル。


 いつものように小柄で陽気な表情で、部長は私にうなづいた。

 少しだけ長くなっている黒髪が、宙を舞う。


「ずいぶん、満足した顔をしているわね、かな恵ちゃん?」

「はい、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「そっか、ついにね」

「はい」

 部長にも、すべてが伝わったようだ。私たちは、この数か月ずっとライバルだった。

 だからこそ、相手のことはよくわかる。


 あとは、盤上で語り合いましょう?

 勝った方が、桂太くんを好きにできる。

 それで、いいよね?


 部長はいつものように私に告げる。彼女の眼は、泥沼に潜んで、獲物を狩るハンターのそれだった。


 もちろんです。ここで決めましょう。

 私は、まっすぐと最大のライバルの眼を見つめた。


 ついにはじまる。

 盤上の代理戦争が……


 ついにはじまる。

 残酷な審判の時間が……


 そして、ついに終わるんだ。

 私たちの大事な青春をかけた最後の聖戦が……


 勝った方が、「はじまりの終わり」を手にいれる。

 負けた方が、「終わりのはじまり」に導かれる。


 どちらにしても……


 もう、後には


 戻れない

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