表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
413/531

第四百十三話 元天才の

倉川side


 早い。

 やっぱり、彼女の本質は攻め将棋。攻めると決めたら、一気に来る。

 この迷いのなさ、自信。私が失ってしまったものを彼女は持っている。


 それが羨ましくて、憎たらしくてしょうがない。目の前の彼女だって、それ相応の挫折はしているはずだ。教育大付属ほどでなくても、彼女の周囲のメンバーは怪物と言って差しさわりない。でも、その挫折を経験して、なお彼女は私に全力の自信をもってぶつかってくる。


 なんて、(まぶ)しいんだろう。

 嫉妬しかない。


 彼女の若さが、素直さが、真っ直ぐな気持ちが羨ましくてたまらない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、彼女の実力は、偽物(わたし)とは違って本物だ。だから、私のような不名誉な異名(元天才)にはならないで済む。たぶん、来年の個人戦の優勝候補に名前を連ねる逸材だと棋譜を並べてすぐにわかった。


 存在がすでに、別領域(規格外)


 だけど、将棋は才能だけじゃない。

 持たざる者が、純粋な気持ちで(第一局のような)名勝負ができる時もある。

 

 でも、私はそんなにいい子じゃない。

 むしろ、悪意の塊だ。


 部活のみんなは私のことを慕ってくれる。でも、それは隠れた本当の私を知らないからだ。

 でも、今日が私の最後の大会。


 だから、()()()見せてもいい、よね?


 天才を、私は悪意で迎え撃つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ