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第三百六十話 密会?

「ふうー、緊張したああああああ」

 私は舞台袖から降りて、廊下でペットボトルのお茶を飲みながらベンチに座りこんだ。個人戦では、何度も来ているはずの全国の舞台だが、団体戦でははじめて。私のくじ運ですべて決まる。このプレッシャーがすごかった。ロボットのような歩き方で登壇したような記憶がある。


「やばい、恥ずかしい」

 晴れ舞台で、ロボットダンスを披露したことに猛烈な後悔を感じる。何やってるのよ、自分。

 それに……


「すごい組み合わせになっちゃったよおおおおおおおおお」

 私はものすごく落ちこむ。だって、全国常連校二校を含む完全な「死のグループ」だ。そして、それを勝ち抜けても……


「お疲れ様です。部長」

 天使のような声が聞こえた。私が一番求めていた声だ。

「桂太くん」

「迎えに来ちゃいました。すごい緊張していたから」

「キレキレのロボットダンスでしょ?」

 私は、がんばって年上の余裕を披露した。完全なやせ我慢だ。

「甲子園球児のロボット行進みたいな感じでしたね」

「むう、あんまり年上をからかわないで……」

「すいません」

 桂太くんは、苦笑いする。絶対に反省していない。


「ごめんね、すごい組み合わせ引いちゃった」

「ああ、あれですか。全然大丈夫ですよ。みんな逆にやる気に満ちてます」

「ホント?だって、予選から強い学校と連戦だし……」

「もしかしたら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「うん」


 仮に、私たちが二位突破した場合、決勝トーナメント1回戦でぶつかるのは豊田政宗を要する「教育大学付属高校」だ。去年は、主要大会を連覇。個人戦でもすべて優勝。無敵(インビンシブル)艦隊(アルマダ)とも揶揄されるほどの戦力を保有している。


 二軍でも県大会優勝可能な全国でも唯一の高校。

 名前を読んではいけない"あの"高校。

 豊田政宗の分霊箱。


 こんな感じで沢山の異名がある。なんか全体的にハリーポッタ〇に影響されている気がするが気にしてはいけない。


「大丈夫ですよ。優勝するんでしょ、部長?通過点じゃねーかよ、あいつらなんて」

 彼は私を元気づけようと、そう言ってくれる。でも……

「その言葉が、某バスケマンガからの引用じゃなくてオリジナルだったら感動したわね」

「知ってましたか……」

「もちろんよ」

 彼はバツの悪そうな顔で恥ずかしがった。「しまらないな~」とひとりごとのように呟く。そんな優しい彼が私は大好きだった


「そんなかっこつけてもかっこつかない桂太くんが、大好きよ」

 私は素直に言った。

「ありがとうございます」

 わたしたちは、お互いに顔が真っ赤だったと思う。幸せな恥ずかしさだった。


「桂太くん、泣いても笑ってもこれが私たちが高校で一緒に将棋ができる最後の機会よ。全力を尽くしましょ」

「はい!」

 私たちは一緒にみんなの元へと戻った。

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