表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
359/531

第三百五十九話 桂太と葵のバレンタイン(特別編)

※今回は番外編です。本編から約半年後のバレンタインデーです。


――――――――――――――


「お疲れ様です。桂太先輩?」

「ああ、葵ちゃん、お疲れ様。かな恵は?」

「少し委員会の仕事で遅くなるみたいです」

「ああ、そっか」

 夕方の部室で二人きり。文人も少しだけ遅くなるそうだ。


「そういえば、桂太先輩?今日は何の日でしたっけ?」

「……」

「チョコ、いくつもらいました?」

「……」

「えっ、もらってないんですか?本命からも?」

「……」

「もう、私を選んでおけばよかったのに~」

 こういう感じで私は先輩のメンタルを削っていく。先輩は無言でうつむき、たまに「ぐふううう」とか言ってる。まあ、本命チョコはあとからもらえるのは確定しているはず。だから、少しくらい落としてもいいよね。いじわるしてもいいよね。


「先輩、クラスメイトからも義理チョコもらえないんですか」

「うん」

「ははは、ざまぁ」

「葵ちゃん!?」

「冗談ですよ~」

「最近、腹黒化してるよね、絶対」

「桂太先輩のせいですよ。私がこんな風になっちゃったの」

「ちょっと、エッチに言ってごまかそうとしてもダメ」

 いつものようにじゃれ合う私たち。この時間が私の中ではとても大事だ。


「まあ、そんなかわいそうな先輩のために、”義理”をはたしてあげますよ」

 私は昨日手作りしたトリュフチョコを渡す。

「いいの?葵ちゃん?」

 先輩は手を震わして喜んでいる。


「どうぞ、”形式的”な義理チョコです」

「形式的?!」

「深い意味はないですよ、せっかく作ったんだから食べてください」

「手作りか、本当にうれしいよ。ありがとう」

「どう、いたしまして」


(”本命”なんて言ったらもらってくれないでしょ、センパイ?)


 私は本心を隠してチョコを食べるセンパイをみつめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ