第三百二十八話 帰り道
風邪をひきましたw
皆さんもご注意ください。
俺たちは、いつものようにふたりで下校した。
葵ちゃんと部長は、二人で話したいことがあるとかでどこかに消えてしまった。葵ちゃんが、いつぞやの不敵な笑みをうかべていたのが少し気になるが……
「気にしないようにしよう」
俺はそう決意して、かな恵と近くのスーパーに向かう。
朝に約束したスーパーでの買い物に付き合う。
そういえば、春も一緒にここにきたな。そう思うとなんだか感慨深い。
あの時の二人は、かなりぎこちなくて、お互いに笑っちゃうくらいコミュ障気味で……
「兄さん、今日は何食べたいですか?」
「かな恵が作ってくれるのか?」
「最近、兄さんばかりに作ってもらっていたので、今日くらいは……」
「嬉しいな。かな恵みたいな美人の妹に料理を作ってもらえるなんて。俺は一年生男子に闇討ちされるんじゃなかろうか」
「大袈裟ですよ。それにみんな兄妹って知ってますから」
「まあ、そうなんだけどさ。やっぱり、かな恵と一緒に住むようになってから、日常が華やかになったというか……」
「嬉しいですね。リップサービスでもそう言ってもらえると嬉しいです」
「本心だぞ?」
「また、そうやってナチュラルに女の子を口説くんだから。本当にラノベ主人公みたいな性格をしていますよね。兄さんは……」
「えっ、なんだって」
「そういうところです」
「痛っ」
かな恵は怒って俺の手をつねってスタスタと米売り場に歩いて行った。
冗談だったんだけどな……さすがに……
「兄さんは、10キロくらい余裕で持てますよね?」
「えっ」
「だから、鈍感主人公の兄さんならお米10キロくらい余裕ですよね?」
「待って。10キロって……持てなくはないけど買いすぎでしょう」
「え~なんだって~」
「そんなところで、難聴鈍感ヒロインぶらなくてもいいからっ」
「それに俺、知ってるだろうけど、ガチガチの文科系だからっ。そんな体育会系みたいなことを言われても……」
「お米、何キロ持てますか?」
「そんなダンベルみたいなことを言われても……」
「冗談ですよ。そんなに本気にならないでください」
「よかった。本当によかった」
「まったく、男の人なんだからもうちょっと頑張ってもいいじゃないですか……」
「でもさ、かな恵変わったよな」
「なにがですか?」
「春の時は、こんな軽口叩いたり、怒って手をつねったりするの考えられなかったじゃないか」
「そりゃあそうですけど……」
「やっぱり、ちゃんと家族になってるのかな」
「そう、かもしれませんね……」
「これからもよろしくな。かな恵」
「はい。あと、今日はカレ―にしましょう」
「そりゃあ、楽しみだ」
俺たちはレジに向かって歩いていく。
※
「私は家族じゃない形で、あなたに出会いたかったのに……」




