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第二百七十四話 才能と光

 私たちは、お互いに攻め合う。

 それは、盤上外での思いを乗せたストレートパンチの応酬となってしまう。

 私たちは、お互いを分かりきっているからこそ、殴らなくてはいけないのだ。


 私たちが狙う場所は同じなのに、入場するためのチケットは1枚しかないのだから……

 葵ちゃんは、流れるような苛烈な攻めを繋いでくる。

 まだ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 私のプランでは、序盤に大きなリードを作って、中盤にそのリードを拡大。そして、葵ちゃんの終盤力による追い上げを、()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()


 はずだったのに……


 盤面は、葵ちゃんの細くても確かな読みから繰り広げられる猛烈な攻撃によって、ほぼ互角の形勢になってしまっていた。

 もう、終盤の入り口なのに……


 お互いに寄せ合う展開になっている。終盤で、あの()()()()()()()()()()()()()()()()…… プランは崩壊していた。


 私は、あきらめに似た気持ちで、持ち時間を浪費していく。

 葵ちゃんはその間に、もう光を見ているはずだ。

 彼女と私では、才能が段違いなのだから……


 読み、成長スピード、正確な一手、終盤に向けた構想力。すべてが桁外れだ。

 彼女は私と同じ盤面を見ているはずなのに、違う次元にいた。

 こんなの無理だよ、兄さん……


 私はここにいないはずの兄さんにすがる。

 まだ、互角だが、それはつまり敗勢としか考えられない。

 彼女の終盤は異次元だ。


 だから、もう無理だ。

 私は頑張った。もう、楽になりたい。やっぱり無理だった。


 目を閉じる。


「どうして、あきらめるんだ? まだ、互角じゃないか……」

 男の人の声が聞こえた。

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