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第二百六十話 10番勝負

「部長、形勢はどうですか?」

 私たちは次の試合ということで、桂太くんの将棋を葵ちゃんと観戦している。葵ちゃんはかな恵ちゃんがいないので、少しだけ安心した顔になって控え席に戻ってきていた。


「まだ、お互いにさぐりあいよね」

「そう、ですよね」

 桂太くんは、落ち着いて橋田くんを矢倉へと誘導していた。とてもよい作戦だ。激しい将棋を選ばずに桂太くんの持ち味が一番でやすい持久戦への誘導に成功している。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()……

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 お互いに矢倉が完成した。古風な定跡の古風なかたちだ。今の将棋なら、すでに開戦していてもおかしくないが、ふたりの陣形はにらみ合いを続けている。


 さて、桂太くんは、どこから仕掛けるのか?私は固唾をのんで見守る。


 桂太くんの次の一手は予想外のものだった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ……


挿絵(By みてみん)


「伝説の名人戦、10番勝負か……」

「10番勝負?」

 私の言葉に葵ちゃんは、はてなマークをたくさん浮かべる。


「1980年代に、あった伝説のタイトル戦のことよ。時の大名人に、有史以来の天才といわれた伝説の棋士が挑戦した。そして、本来ならば先に4勝したほうがタイトル獲得なのに、3()()3()()3()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。桂太くんは、その()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」


 まさか、このタイミングで、この棋譜を持ち出すとは……

 我が弟子ながら末恐ろしい。


 桂太くんは、この準々決勝で再現するつもりなのだ。あの伝説の名勝負を……

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