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第二百五十話 復讐鬼

「やっと来てくれましたね。佐藤さん」

 彼女は、静かに笑っていた。

 俺の三回戦の相手だ。


 西田東の中曽根智美さんだ。

 団体戦準決勝で唯一対局しなかった西田東の大将だったひと。


 もしフルセットにもつれこんでいたら、俺の前に立ちはだかっただろう相手だ。データはなしで、棋風も分からない怖い相手だ。


「今日はよろしくお願いします」

「はい、こちらこそ。そして、昨日のリベンジをさせていただきます。ベスト8に行くのは私ですよ」

 かわいい顔をして、戦意にあふれた様子だ。

「負けるつもりはないよ」

「それで、こそですよ。佐藤さん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 彼女は不敵な笑みで笑った。


「今日は、()()()()()()()()()()()()()()

「いいね、どんとやろうよ」

 彼女の挑発は、俺をやる気にした。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 それを雁木で倒す。これは挑発以外のなにものでもない。

 俺はこの挑発にのることにした。このケンカは負けるわけにはいかない。


 どうして、ここまで矢倉vs雁木に固執するのかと言うと、矢倉を絶滅危惧まで追い込んだのがコンピュータが開発した雁木戦法なのである。


 江戸時代からあったその戦法は、「矢倉の出来の悪い兄貴」とも称されて矢倉の後塵にいた。しかし、将棋ソフトの発展がその日陰の戦法を一躍メジャー戦法に変えたのだ。


 逆に最大のメジャー戦法であった「矢倉」は雁木に駆逐されかけている。

 つまり、彼女はこう言っているのだ。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」と。


 ここで引き下がれるわけがないよな。

 俺はこの時のために、対雁木のために研究していた手順を披露する時が来たのだと判断した。

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