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第二百四十三話 葵とかな恵

 俺は自分の対局が終わったので、他の部員の様子を確認する。

 文人は、山田さんと対局がまだはじまったばかりだった。

 部長は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ベスト32進出。


 そして、葵ちゃんとかな恵の対局は、最終盤に到達していた。

 かな恵は、2年生の男子を相手に、序盤から圧倒。すでに、形勢は確定している。

 しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その老獪さは、まさに友だちを無くす指し方としか言いようがない。


 だが、それは、俺が大好きなかな恵の将棋じゃなかった。


 俺が知っている市民大会や部活の練習中に見せたかな恵のイキイキとした攻め将棋とは違う、自分を押し殺したかのような指し方に、彼女が学んできた将棋の歴史が反映されているのだろう。

 かな恵の将棋史は、苦しみがほとんどだったのかもしれない。


「もしかすると、かな恵は、将棋をやめたいのかもしれないよな」

 普通に考えたら、そう考えるのが妥当だと思う。

 彼女の今まで生活で、将棋は心の(くさび)にしか過ぎなかったのかもしれない。


 でも……


 ワガママな心の中の俺は言うのだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と。


 相手は、顔を青くして投了した。

 かな恵は淡々と勝利を受け入れた。いつものような笑顔は勝っても見ることはできない。


 俺は葵ちゃんの対局も、確認する。

 相手は昨日の団体戦も対戦した、県最強クラスの強豪「甘枝」さんだった。


 彼はリベンジするべく、気合を入れて対局に望んでいた。

 そして、盤上では、恐るべき状況が作られていた。

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