表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

231/531

第二百三十一話 朝の決意

 ついに、大会2日目の朝が訪れた。

 おれは、覚醒した頭で、日課の詰将棋を解きはじめる。

 

 おれは、昨日聞いた尚子さんの話を思いだしていた。

 そして、決意を新たにする。


「今日は絶対に勝つ」

 誰が相手でも、勝たなくてはいけない。勝って将棋の楽しさをかな恵に教えなければ、俺たちの間に大きな壁ができると思う。そんなのは嫌だ。かな恵がそれを望んでいたとしても、おれは()()()()()()()()()()


 例え、相手が部長だろうが、葵ちゃんだろうが、山田さんだろうが、今日だけは負けることができないのだ。


 誰であろうと、立ちふさがる相手は粉砕する。

 それが、俺にできる唯一のことだ。


 いつのまにか、7手詰の詰将棋の本を解き終えていた。


「200問を、25分か。自己ベスト更新だな」

 俺は、本を閉じて、服を着替える。ついに、決戦ははじまるのだ。


 ※


 会場前で部長たちと合流した。

「よし、みんな寝坊もなくきたわね。今日は、ついに個人戦よ。昨日とは違って、みんなライバル。もし、お互いにぶつかったら、()()()()()()()()()()()()()

 部長は、冗談のように言っていたが、本音だということはみんな知っている。部長は、本当に負けず嫌いなんだ。


「特に、桂太くん? 昨日、私を泣かした借りは、決勝で返すわよ」

 部長は、笑っていた。決勝まで上がって、私と戦えという激励でもあり、自分は決勝に行けるという自信の裏返しでもある言葉だ。

「はい、決勝でお会いしましょう」

 俺も自信満々に答えた。

「言うようになったじゃない。我が弟子よ」

「はい、師匠(マスター)。もう、負ける気はありませんよ」

 俺たちは笑い合う。


「それ、誰のお仕事のセカイだよ」

 文人は、いつものように冷静なツッコミを入れていた。


「じゃあ、組み合わせの確認よ。文人くん・かな恵ちゃん・葵ちゃんは、1回戦から登場なので、集中しておくこと。私と桂太くんは、シードなので2回戦から登場します」

 部長は説明していく。

「そして、文人くんの2回戦の相手はなんと、山田くん。県最強の男だけど、文人くんも急成長しているから、全力でぶつかりなさい」

「はい」

「そして、葵ちゃんの2回戦の相手は、甘枝くんよ。昨日、勝っている相手とは言え、相手は第3シードの強豪。向こうも全力で来るわ。気を引き締めてね」

「はい」

「そして、うまくいけば、準々決勝で、葵ちゃんとかな恵ちゃんが激突するわ。そうなったら、ふたりとも全力で戦ってね。準決勝で待っているわ」

「はい」

「はい」

「そして、桂太くん。あなたは、準々決勝で橋田さん。準決勝で()()()()。決勝で私を相手にするきもちでがんばってね」

「はい」


「よし、じゃあ出発よ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ