第二百十五話 ギャラリー
最終局前に、少しだけ総集編です。
「ついにフルセットまでもつれこんだな」
「千城高校がここまでおいこまれているのは、はじめてじゃないかな」
「おれもこの大会10年くらい見ているけど、あの高校が1セット以上落としているのをみたことがないよ」
「どんだけやばいんだよ」
「さすがは県最強の常勝軍団」
「でも、今年はほとんどオールスターズだよな。県最強の山田・ベスト4橋田・前中学チャンピオン山瀬。この三人だけでも優勝できちゃいそうなくらいのメンツだしさ」
「それに、県ベスト16の北澤。ベスト8の立川が脇を固める。普通に勝てねえわ」
「特に、立川は仮想”米山”ということで、山田のスパークリング相手らしいじゃん」
「やっば、じゃあ、山田と米山の代理戦争じゃん。佐藤も米山香の練習相手らしいし」
「もう、最初の山田対米山からすごかったよな」
「ああ、いきなりの頂上決戦だったし。相入玉の点数勝負とか劇的だったよな」
「それに第二局も、銀立陣が完成して、入玉狙いだったもんな。あんな天空城はじめてみたわ」
「もう駄目だと思った第三局は、県3位を無名の男が神の一手で粉砕だし」
「第四局は、ダイヤモンドの原石同士のぶつかりあい。なんだよ、あの攻めをつなぐ技術。それをしのぎまくった山瀬もすごかったし、あれが個人戦決勝戦だと言われても疑問に思わねえよ」
「うんうん、あれが1年同士の対局だって信じられねえよな」
「さあ、決勝戦の最終局だ。ゆっくり見ようぜ」
「戦型は……」
「四間飛車vs穴熊だな」




