心と知能
知能は意識を嫌悪し
知能は意識を排除しようとする
知能が技術を作り
知能が社会を作り
知能がシステムをつくる
行動はシステムに従い
システムに管理できない行動は許されない
行動は全てシステムの規範の中に
はみ出すものは処分される
やがて行動は意識と解離する
確個たる意思のもとの行動は
知能が作ったシステムが許さない
そして知能は心を殺す
心を殺しシステムの檻に入る家畜とならねば生きることを許されず
心のままに生きる者の自由はシステムを拒絶する
知能は全体主義を振りかざし
人を生かすために心を殺す
心のままに生きようとするものは
システムの破壊者となり敗北する
人という名の心を棄てた肉とならねば生きてはいけない
だが、心という名の獣は抗う
勝利できぬ争いとも呼べない反抗
システムを崩壊させねば保つことのできない感情
心から正義を求める希求こそが反乱の原動
心を守れば社会の敵となる
論理と交渉では心は知能に勝てはしない
頼るのは獣の如き暴力
小賢しき口を力強く拳で塞ぐのだ
知能は社会を壊す正義を認められない
数の暴力に抗える者は未だいない
理知的で論理的な人々は
最大多数の派閥へと入るために
心を亡くしてしまう他に無く
檻に向かう列が途切れることは無い
心を亡くした知恵者は
心を持つ獣を排斥する
かつてはそれを嘲笑うことすらできたのに
肉体を生かすためには心を殺し
心を生かすためには肉体を殺す
目に見えぬ争いが人を蝕み侵していく
どちらも生命から生じた兄弟であることを
忘れてしまったかのように
目に見えぬ争いから逃げる心は
夢幻を微睡み眠りにつく
心が死ぬ悲鳴は音なき絶望となりて
空に消え闇に溶ける
心を知覚するは心のみ
心失せれば只の懐かしき虚
心の墓標が立ち並ぶ
そこに生きるは永遠の人の肉
人が求めた情動の喪失は
これまで積み上げてきたものを食い潰す
システムに飼われる家畜には
もはや創造する力も無く
緩やかな自殺行為こそを
人の叡知と歌いながら
虚ろな生を謳歌する
どちらを殺し
どちらを生かすか
殺したがる人々は
共に生かすことを拒む
人が行き着いたこの地には
心が生きる楽園を
食い潰して辿り着いたのだから
もはや心無き肉でしかここでは生きられない
処刑台に心臓を投げることを
それが人間の当然と囀ずる、今――




