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1章 春の森

「やっと、着いた。」


僕の目の前には、沢山の木々が人工的に植えられたのか割と秩序正しく並んでいた。手に持った地図で再度確認する。太陽は森の方から昇り始めている。辺りは薄暗いが、陽の光を浴びた森は幻想的な雰囲気に包まれていた。間違いない、最東の森、春の女王様が暮らしていると言われている森にやっと着いたんだ。


辺りを調べると、馬車が通れるくらいの幅の舗装された道を見つけた。きっと春の女王様が通る道なんだろう。春の女王様にお会いできることを信じ、道を辿って森の中へと入ることにした。


森の中はなんとも不思議な光景だった。道に沿って桜の木が植えられているようなのだが、雪が降り積もる冬の時期なのに満開だ。桜以外にも桃や山吹、ツツジといった花々が色とりどりに咲き乱れていた。地面に目を向ければ、雪の上に桜などの花びらが絨毯のようにひかれ、雪の合間からタンポポが顔を覗かせている。冬と春が混在する景色に少しテンションが上がってしまう。本当に、綺麗だ。


森に入ってしばらく経ったが、春の女王様が暮らす屋敷はまだ見えてこない。ここ数日あまり寝ていないせいもあり少し疲れてきたが、道が続く方へと進み続けた。


それにしても、なぜ春の女王様はお城へ行かないのだろうか?暦ではもう4月なのに。まぁ冬の女王様がお城を出ない方が問題で、城から出ない理由もよく分かっていないようなのだが。まぁ1人で考えても答えが出るわけじゃないか。とにかく、早く春が来てほしい。寒いのは…苦手だ。


道を歩いている途中、ふと家族や友達のことばを思い出した。『怪物が出る』と。その場で周りを見渡した。怪物らしき影は見当たらない。それどころか、鳥や動物達すら森の中で見ていない気がした。冬だからか、どこかで冬眠でもしているのだろうか。気をとりなおして進むことにした。


怪物なんて、おとぎ話じゃあるまいしいるわけないじゃないか。何ビビってるんだか、自分は。あぁ、バカらしい。







「この森に入るとはいい度胸してるな、おまえ。」




僕の目の前に、そいつは突然現れた。




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