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回想2
リリィと初めて出会ってからもう1年が経つ。
道端で倒れていたところを助けてもらったらしい。気づけば見知らぬ城の中だった。
すぐに城を出るつもりだったが、思ったより体調が悪かったのと、久々に人と話ができるのが嬉しくて、つい長居してしまったっけ。
楽しかった。ずっと一緒にいたかった。
雪が降り始めた朝、目を覚ますと、自分の手からいつもの症状が出始めていた。
『化物』
世界各国で言われ続けた言葉。突然化物になってしまう原因不明の病気。治療法を探し旅を始めてしばらく経つが、有効な治療法は未だ見つからない。
おまえには、病気の時の姿は絶対に見られたくない。おまえにだけは『化物』と呼ばれたくないんだ。
誰にも気づかれないよう、顔を隠し、俺は城を出ようとした。
『次はいつ頃、この城に来ていただけますか?』
嬉しかった。こんな俺でも戻って良い場所があるなんて。必ず…必ずこの場所へ戻ろう。症状が出てから2、3ヶ月すれば元の人間に戻る。冬が終わる頃にはきっとまたすぐ会える。
そう思っていた。
だけど、現実は症状は良くならず、俺は未だ化物のまま。
こんなに近くまで来ているのに。
手を伸ばせば届く距離にいるのに。
今はただ、俺だと気づかれないよう、じっとすることしかできない。
そうするしかないんだ…




