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序章
冬の女王様が城に入ってもうすぐ1年になる。
国中は雪に覆われ、農業で生計を立てる僕の村は窮地に立たされていた。普通の畑では寒さで野菜が育たず、温室栽培の野菜も長期に渡る冬の影響で暖房に使われる燃料が高騰し、経営は悪化。赤字が膨らむ一方だった。
王様からおふれが出るやいなや、毎日のように、村の誰かが冬の女王様を城の外に出そうとお城へ向かったが、みんな暗い顔をして戻ってくるばかりだった。
このままでは、村中の人が飢えて死んでしまう。
そこで、僕は考えた。冬の女王様が城を出ないのならば、春の女王様を城へ連れて行き、力ずくで冬の女王様を追い出せばいいのではないか?
家族や友達にそう話すと、お前はバカか?と言われた。お城にいない女王様たちには会うことができない。春の女王様は森に、夏の女王様は海に、秋の女王様は山にそれぞれ屋敷を建て住んでいらっしゃるが、女王様を守る怪物が屋敷の周りにたくさんいる。昔、女王様の1人が悪意ある人に襲われたことがあり、今じゃたとえ王様だろうと屋敷に近づくことはできない。そんなこと常識だろ?と。
だけど、僕は考えた。常識で考えた行動で、今まで誰も冬の女王様を城の外に連れ出せなかったじゃないか。
そんなこんなで、僕は誰にも理解されないまま、春の女王様が住んでいる森へと向かったのであった。




