男同士
日曜日。
リョウタが、真吾くんと飲みに行くらしい。
リョウタは、セーターを着て、鏡を見て、髪をセットしていた。
なんか、また大人ぽっくなって、20歳の可愛かったリョウタとは違う。
「じゃあ、行ってくる」
「女の子のいる店に行ったら、嫌だよ」
私が、思わずそう言うとリョウタは、振り向いた。
「行くわけねーだろ。真吾くんも奥さん一筋なんだから」
リョウタと真吾くんが、居酒屋に入ると、うちの店にくるOLさん達が、リョウタに気づいたみたいで、騒いでいた。
リョウタは、OLさん達に、ニコッと笑って会釈した。
「イケメン店長、私服もカッコいいー」
OLさん達は、リョウタを見て、興奮状態だった。
席に座ると真吾くんが言った。
「リョウタくん、相変わらず人気者だな。そのセーターいいね。似合う」
「京子からのクリスマスプレゼント。」
「さすが京子先生、センスいいな。いっそうイケメンが際立つ」
真吾くんは、羨ましそうに言った。
「真吾くんは奥さんに何もらったの?」
「ランニングマシーンもらった。いかにも、痩せろという感じだよな」
でも、ランニングマシーンって、通販で、買ったとしても、高くないだろうか。
「部屋に、邪魔でさ」
「三日坊主に、ならないようにしないとな」
そう言ってリョウタは、笑った。
「オレは、クリスマスプレゼントに、ブルガリの指輪を請求されて参ったよ。」
「ブルガリは高いね。オレは、京子に、ティファニーやった。若い子が、つけるんじゃないのーって、言ってたけど、喜んでたから良かった」
そうリョウタから、ティファニーのオープンハートもらったのである。定番といえば定番だが、私のようなオバサンが、オープンハートつけていいのだろうかと思ったけど、嬉しかった。
チゲ鍋を食べながら、ビール飲んで、焼鳥食べて、二人は、かなり良い気分になっていた。
「あっ、京子先生の着物。色ぽっいー」
真吾くんが、リョウタのスマホの壁紙を見て、言った。
「リョウタくん。やばくね?京子先生、オッサン達に、人気ありそうだよな。どうする?金持ちのジシイに、店もう一軒だす資金だすからと、誘われたら」
「ありえるー。この間、店にエロオヤジ着て、京子を無理矢理飲みにつれて行こうとしてた。オレ、ますます嫉妬深くなるよ」
「オレ、この間、紀香を尾行したんだ」
「尾行?真吾くん、オレより嫉妬深いじゃん。オレ、そこまでしないよ」
真吾くんは、最近、やたらランチに行くと出掛ける紀香ちゃんを怪しみ、出掛けた紀香ちゃんの後をつけたらしい。
「そしたら、湯川さんちのお嫁さんとランチだった」
「あー。駿くんのお嫁さんの彩ちゃんね。うちの店にも二人で、来るよ」
紀香ちゃんと彩ちゃんは、料理教室で、知り合い、年も同じくらいだし、同じ専業農家の嫁だし、都会から嫁に来てるしで、気があうのだろう。
「まず、男じゃなくて、ほっとしたよ。紀香も友達出来て、良かったよ」
真吾くんは、安心したように煙草をふかした。
「リョウタくんって、煙草吸わないの?」
「オレ。京子が妊娠した時に止めたんだ」
「へえ。簡単に止めれた?」
「京子の体のことを思えば、止めれたよ。オレの子供が、京子のお腹の中にいるわけだし」
「そうなんだ。じゃあ、オレも紀香が妊娠したら、止めれるかな。紀香に、煙草嫌がられててさ」
「真吾くんも、きっと、止めれるよ」
こうして、リョウタと真吾くんは、お互いの妻の話をしていた。
「ところでさ、真吾くん。この町で、ライブやりたいんだけど、ライブハウスがないんだよな。ブッキングじゃなくて、ワンマンで、やりたいから、ライブハウスみたいなところ知らない?」
「ライブハウスねー」
「公民館じゃ。オレらのバンドに貸してくれないだろうし。100人か200人くらいのキャパで、ないかな」
「うーん。当たってみるよ」
リョウタが9時頃帰ってきた。
「早かったね」
「京子が寝ないうちに帰りたかったから」
リョウタは、ダウンを脱いで、ソファに寝頃がった。
「京子、こっち来いよ」
「なに?」
「金持ちのオヤジに誘われても行くなよ」
リョウタは、私の膝に頭をのっけて、言った。
数日後、真吾くんから電話があった。
「リョウタくん、オレの同級生で、リョウタくんに合わせたいヤツがいる」




