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常連。

恭ちゃんが寝てたから、寝室のソファで、リョウタとくつろいでると、母親がドアをノックした。

「お父さん、熱が39度もあるのよ」

母親が心配そうに言った。

「じゃあ、オレ今から、病院に付き添いますよ」

リョウタが、上着をきた。

「私も行くから、お母さん、恭ちゃん見ててね」

こうして、父親を病院に連れていくことになった。

父親は、最近風邪気味だったが、病院には行ってないようだった。



「肺炎ですね。年齢も年齢ですから、このまま入院したほうがいいでしょう」

担当医師から言われた。

そうして、父親は、そのまま入院になり、私は付き添うことにした。

「お店どうしよう。恭ちゃんの世話もあるし、お母さん一人じゃ無理だよね」

私はリョウタに言った。

「そうだな。退院するまで、休むしかないだろう」

「うん。私は、今日は、お父さんについてるから、リョウタお店に、休業のお知らせや、配達の業者にも、連絡してくれる?」

「わかった」



朝、熱が少し下がったので、私は、父親の下着など着替えを取りに家に帰った。

「ママー。どこ行ってたの」

朝、私がいなかったから、恭ちゃんが泣きながらきた。

「ごめんね。おじいちゃん、病院にいるから、ママ一緒にいたの」

恭ちゃんに、朝ごはんを食べさしたら、また病院に行かなきゃいけない。

リョウタは、もうお店に行ったみたいだ。休業のために、片付けてこないといけない。



お店を休んでも、開いてなかったら、お客様は、別の店に行くだろう。店って、そういうものだ。



午後、病院から帰ってくると、花江から電話があった。

「京子、どうしたのよ。休業って。昼にお店に行ったら、貼り紙してあって、びっくりよ」

「せっかく来てくれたのに、ごめんね。お父さんが肺炎で入院したから、恭ちゃんの世話もあるし、お母さんひとりで、無理だと思って、退院まで、休むことにしたの」

花江に、事情を話した。

「京子。そういう時は私に言いなさい。恭ちゃんの面倒は、私が見てもいいのよ」

「ありがとう。でも、お父さんのことも気になるから、休業するしかないかなと思って」

「わかった。でも、大変な時は私にいいなさいよ。いつでも、手伝うから」

花江は、やはり心強い友達だ。



父親は、一週間は入院しなければならないみたいだ。

恭ちゃんは、毎日、私とリョウタがいるので、嬉しそうだった。

私が、父親の病院に行こうとすると

「ボクも、おじいちゃんとこに、行く」

「風邪うつるから、恭ちゃんは、パパと、お家にいてね」

「わかったー」

今の時期、病院にいくと、風邪やインフルをもらってくるかもしれないから、恭ちゃんは連れていけない。父親は、恭ちゃんに会いたいだろうが、その辺は我慢してもらおう。




私の母校の高校。2年3組。

「咲ー。パスタ屋、昨日行ったら、休業だった。なんかあったんかな。おまえ分かる?」

バスケ部の絢斗くんが、咲ちゃんに聞いた。

「わからない。私も行ったら、休業の貼り紙してあったから、帰ってきた。ハンドボール部の子達も、行ったらしいよ。シェフか店長が、病気なのかな」

咲ちゃんが言った。




ピンポーン。

夕方5時頃。家に誰かが来た。

ドアを開けると、咲ちゃんと、ハンドボール部の三人組と、絢斗くんだった。

「みんな、来てくれたの」

私は、びっくりした。

「休業の貼り紙してあるから、シェフか店長が病気なのかなと思って来ました。」

咲ちゃんが、言った。

「違うのよ。私の父親が入院して、それでお店を休んでるのよ」

みんな心配してくれたんだ。

「これ皆でお金出しあって、ミカンです。」

咲ちゃんが、ミカンの袋を私に渡した。


高校生が、おこづかいで、ミカンを買ってきてくれたかと思うと、私は感激して、涙が出そうだった。



みんなに、リビングに上がってもらった。

「リョウタ、今、病院行ってるけど、もうすぐ帰ってくると思うから」

リビングに入ってきた絢斗くんを見て、恭ちゃんは

「おにいちゃーんっ」

絢斗くんの足にしがみついた。

恭ちゃんは、帽子を拾ってくれた絢斗くんを覚えていたようだ。

「店長、そっくりー。可愛いー」

女の子達は、恭ちゃんを見て、騒いだ。

「ボク、パパそっくりー。」

また、女の子達は、可愛いーと言ってた。




ケーキと、紅茶の準備してる間、恭ちゃんは、絢斗くんの隣に座ってた。

リョウタが、病院から帰ってきた。

「おー。みんな来てくれたんだ」

リョウタは、リビングにいたみんなを見て言った。

夕方だし、夕飯も食べて行ってもらうことにした。

唐揚げ、グラタン、サラダ、ワンタンスープにした。みんなは、美味しいと食べてくれた。


遅くなったので、リョウタが車で皆の家まで送った。

休業して、心配してくれた高校生達。私達の店は、この子達の生活の一部に入ってたのだろうか。



次の日。駿くんが来た。

軽トラで、沢山の果物の詰め合わせと、沢山の野菜を持ってきた。

「おじさん、早く良くなるといいですね。病院食だけじゃ足りないから、退院したら、栄養あるもん食べさして下さい」

「ありがとう。駿くん」

私は、駿くんの軽トラをいつまでも見送っていた。



午後から、料理教室の受講生がきた。

本当なら、今日は料理教室の日だった。急に休んで、申し訳なかった。

「先生、パウンドケーキ焼いてきたので、食べて下さい」

「私は、クッキーです」

「私は、グラタン作ってきました」

受講生それぞれ、作って持ってきてくれた。

「みんな、ありがとう」

「先生が作る料理には、まだまだ勝てないですけどね」



リョウタが、翼くんからお見舞い金をもらってきた。

「一週間だけだから、いいって、いったんだけどよ。おじさんには、結婚披露パーティーの時もお世話になったからって、無理無理よこされた」

翼くんにまで、気を使わせて、申し訳なかった。




たかが、行き付けの店に過ぎないかもしれない。

でも、あの頃には、あの店に、よく行ってたとか。リョウタと付き合ってた時、行ってた店だとか。辛いときに、あの店の美味しい料理を食べて元気になった。とか、私にも、そういう店がある。



私達の店は、みんなの、そういう店になってくれたのだろうか。

みんなの優しさや気遣いが、心に染みた一週間だった。



父親は、退院した。私達は、また店を開いた。

ディナータイムに、コース料理をすることにした。

パスタ、ピザ、デザートをフルで頼むお客様が多いので、コースで、安く提供できたらいいなと思ったからである。



「京子っ、来たわよー」

店復帰後、一人目のお客様の花江がやってきた。





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