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対抗。

リョウタが、2キロ太ったらしく、恭ちゃんを背中に乗せて、腕立てふせをやりだした。

「恭、今度は、足に乗れ」

「うんっ」

今度は、腹筋をやりだした。

「そんな急にやって大丈夫なの?腰痛くするよ」

私は心配してリョウタに言った。

「大丈夫だ。オレは、まだ若いから」

ふんっ。むかつく。

そうして、リョウタは私の心配をよそに、腹筋50回をやった。



朝8時になっても、リョウタが起きてこない。

「リョウタ、起きないと仕事遅れるよ」

二階にリョウタを起こしに行った。

「京子、腰が痛くて、起きれない」

だから、言ったのに。最初から腹筋50回なんて、やり過ぎなのよ。

「京子、サロンパス貼ってくれー」

私がリョウタの腰にサロンパスを貼ってると、恭ちゃんも、面白がって、貼りたいといいだした。

「恭ちゃん、ぐちゃぐちゃだよ。はがして、もう1回貼って」

恭ちゃんが、サロンパスをはがすと

「ぎえっー」

リョウタは、絶叫した。

「もっと、優しく貼ってくれよー」

若いと言っても、30歳過ぎると、体にくる年齢だ。

「仕事休む?」

腰痛じゃ、立ち仕事は、辛いだろう。

「いや、行くよ」



リョウタは、休憩時間に、花江が紹介してくれた整体に行った。30分でもマッサージしてもらえばラクになるかもしれないと、花江が予約してくれた。



でも、リョウタも若く見えても、やはり30歳だな。この間の料理教室で、受講生の24歳の紀香ちゃんに言われたことを思い出した。

「私の旦那、先生の旦那さんと同じ年なのに、お腹でてきたんですよ。結婚して、10キロ太ったんです。先生の旦那さんと、全然違うっー」

紀香ちゃんに羨ましがられたが、リョウタも腰痛じゃ、そう変わらないだろう。


紀香ちゃんの旦那さんは、都会の大学行ってサラリーマンになったが、父親が体調を崩したので、二年前に、地元に戻ってきた。家は、米農家の専業農家だ。50丁やってるらしい。サラリーマンのときは、カッコ良かったのに、農家を継いだら、みるみる農夫になり、日焼けして、ビールの飲み過ぎで、ビール腹になったと、紀香ちゃんは、嘆いていた。



「たらいま」

リョウタが整体から、帰ってきた。

「少しは、良くなった?」

「うん。大分痛みなくなった」

「もう、無茶しちゃダメだよ」

太ったからって、痩せようとして、腰を痛くするのでは、意味がない。



ディナータイム。

30代くらいの男性が二人入ってきた。

「いらっしゃいませ」

「あなたが店長?」

体格のいい無精髭のほうが、リョウタに言った。

「はい。私が店長です。」

「確かに、イケメンだ。スタイルもいい。けどな男は見た目じゃないんだよ」

なんなんだ。その男性は、いきなりリョウタに、突っかかってきた。

「うちの嫁がな。何かと言えば、ここの店長と比べるんだよ。イケメン店長と同じ年なのに、違い過ぎるって。イケメン店長は、お腹が出てない。イケメン店長は、スタイル良い。イケメン店長は笑顔が素敵。って、いちいち煩いんだよ」

はて。どっかで、聞いたような。もしかして、紀香ちゃんの旦那さんかもしれない。


「オレだって、都会にいたんだよ。でも、実家に帰ってきたら、米は美味いし、食べ物しか楽しみないし、太るわけよ。嫁に詐欺だとまで言われてよ。」

それをリョウタに、切々と語って、どうしたいんだろう。

「オレに、イケメンの秘訣を教えてくれないか。頼む。嫁に、愛想つかれたくないんだ。お願いします」

今度は、リョウタに頭を下げだした。


体格のいい無精髭のお客さんは、やはり紀香ちゃんの旦那さんで、波野真吾さんだった。リョウタは、頼み込まれて、真吾さんと日曜日に飲みに行くことになった。



日曜日の夜に、リョウタは、渋々飲みに出ていった。

でも、いざ真吾さんとリョウタが、飲んでみると、同じ年だし、音楽の話もあって、意気投合した。

真吾さんは、奥さんが6歳年下だから、若くて、可愛いし、色々心配してるらしい。太ったせいで、浮気されたら、どうしようと心配してるらしい。でも、心配はしてるが、自分は太っていくと言うことらしい。

「オレも、太ったから、いきなり腕立てふせと腹筋やったら、腰痛くした。年だなと実感したよ」

「まじで?!リョウタくんの細さで、腰痛になるなんて、オレやったら、ヤバイよ。やっぱ酒と、米を減らすしかないのかな」

真吾さんは、切実らしい。でも、こんなに思われてる紀香ちゃんは、幸せ者だ。

「でも、リョウタくんも心配じゃないのか。リョウタくんの奥さん、料理教室の先生、美人だから、けっこう30代、40代のオッサンに人気あるよ。美人で、料理も上手だから、やばいね」

「心配だよ。金と包容力のあるオッサンに、くどかれたらとか。オレより若い年下にいくんじゃないとか。」

「でも、都会から、こんな田舎にきて、婿になるくらいだから、相当、奥さんを愛してるんだ?」

「まあね。もう妻みたいな女は、いないと思う」

「わかるー。オレも、紀香以外、考えられない」


最初は、どうなることかと、思ったが、リョウタも地元に、同じ年の友達が増えて良かったのではないだろうか。




リョウタが、帰ってきて言った。

「京子、太っても、オレを見棄てないでくれ」

「大丈夫だよ。」



それは、当たり前だ。私も独身時代より、太ったのだから、自分のことを棚にあげて、リョウタのことを言えない。




料理教室。

「先生ー。旦那が、これ以上太ったら、エルメスのバーキンを買ってくれるそうですー。だったら、太ってほしいっー」

紀香ちゃんが、嬉しそうに言った。



奥さんに、愛想つかれないために、真吾さんとリョウタの出した結論は、物でつるということだったか。





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