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Special school

土曜日のディナータイムに、カップルが入ってきた。

「いらっしゃいませ」

「あれっ、リョウタ?」

リョウタを見て、カップルの彼のほうが、話しかけた。

「もしかして、翼?」

リョウタも誰だか気づいたようだ。

彼は、翼くんと言って、リョウタの専門学校の時の同級生らしい。

「リョウタ、なんで、ここにいるの?バイト?」

「おまえこそ、東京に就職したんじゃなかったけ?」

「ここ、オレの実家だよ。今度、転勤になって、帰ってきたんだよ」

「へえー。翼、ここが実家だったんだ」

「だから、リョウタなんで、ここにいるんだよ」

「結婚して、女房の実家きたんだ」

「ええっー、リョウタが結婚っー」

翼くんは、すごい驚きようだった。

「この店、女房とやってるんだ」

リョウタは、キッチンにいる私を指差した。

私は、翼くんに、軽く会釈をした。

「もしかして、リョウタが専門学校の時に、夢中になってた年上の彼女?でも、フラれて、すごい落ち込んでなかったけ?」

翼くんの声は、驚きで、声がでかくなってた。

「翼、しっー。仕事中だから、詳しくは、あとでな」

そう言って、リョウタは、席に案内した。


「翼、イケメン店長さんと知り合いなの?」

彼女のほうは、何回か、この店に来てたらしい。

「専門学校の同級生だよ。リョウタ、イケメン店長言われてんの?」

「うん。イケメンだから、人気者だよ」

「へえー。この町に、馴染んでるんだな」


リョウタが、席に水を運んでいくと

「リョウタ、携帯番号変わったか?」

「変わってないよ」

「じゃあ。あとで、連絡するわ」


オーダーストップ寸前に、花江家族がきた。

「京子、来たわよー」

今日は、娘さんと、珍しく旦那さんも一緒だ。

「皆で、大学生の息子のところに行ってきたんだけど、夕飯食べそびれちゃってー」

「はあー」

花江の高校生の娘さんが、溜め息をついた。

「うちのお父さんと、イケメン店長じゃ、全然違う」

「ちょっとー。由衣、お父さんとリョウタくんを比べるのやめなさい。リョウタくんに失礼でしょう。だいいち、年が20歳も違うんだから」

花江の旦那さんは、娘さんにリョウタと比べて、立場がなかったようだ。

「だって、シェフは、お母さんと同級生なのに、旦那さん素敵なんだもの」

そう言って、花江の娘さんは、また溜め息をついた。

「しょうがないでしょう。私と京子とは、顔も頭も違うんだから」

「そうだね。私も頑張って、勉強しよう」

花江の娘さんは、変に納得したようだった。


「あーお腹すいた。リョウタくんー。カルボナーラに、茄子ベーコンパスタに、水菜と大根おろしパスタと、ミックスピザと、木こりピザね。デザートは、まだ考えるから、あとで」



閉店間近になり、お客さんが、花江家族と、リョウタの同級生のカップルだけになった。



試作につくってるチーズケーキが焼き上がったので、花江家族とリョウタの同級生にカップルに、食べてもらった。

「京子、美味しいー。濃厚。甘さもちょうどいいー」

花江は、美味しそうに食べていた。

「すごい美味しいです。」

花江の娘さんも、美味しいと言ってくれた。


「リョウタ。オレたちまで、頂いて、ごめんな。すげえ美味い」

「今日、翼と来て良かった。チーズケーキ頂けるなんて、ラッキー」

彼女の方も喜んでた。


「リョウタ、明日、店休日なのか?だったら、夜飲みにいかないか?積もる話もあるし」

翼くんが、リョウタに言った。

「ああ。夜ならいいよ」



そうして、リョウタは、専門学校の同級生の翼くんと、明日、飲みに行くことになった。




翼くんは、隣の町に実家があるらしい。専門学校を卒業して、東京に就職したらしいが、この県に転勤になり、少し遠いが、車で一時間でいけるので、実家から通うことにしたらしい。

でも、この地元に、リョウタの同級生がいて、良かった。リョウタも、地元で、飲みに行ける同級生の友達が出来たわけだ。



リョウタと、翼くんは、個室がある居酒屋に5時に行った。日曜日だからか、いつも混んでいる居酒屋は、わりと、空いていた。


「じゃあ、あれから年上の彼女と、より戻したんだ?」

「ああ。25歳のとき、寄り戻した」

「なに。リョウタそんな25まで、彼女のことを忘れないで、思ってたんだ?」

翼くんは、また驚いたようだった。

「より戻すまでは、金のために、他の女とも付き合ったけどな。」

リョウタは、ビールを飲みながら、言った。

「翼は、昨日の彼女と長いの?」

「彼女じゃないよ。昨日一緒にいたのは同級生だよ。オレ、離婚したんだ」

「えっ、結婚してたんだ?」

30歳だから、結婚してても、おかしくないけど、リョウタは、驚いたようだった。

「転勤決まって、嫁に。あんな田舎についていきたくないって、義両親とも同居したくないって言われて、離婚」

「それで離婚?」

「嫁も仕事してたし、あと東京で知り合って結婚したから、こんな田舎に行くの嫌みたいで、あっさり2年で離婚と言われた。子供もいなかったしな」

確かに、いきなり東京から、この田舎に住むのはキツいかもしれない。でも、離婚までになるとは。

「オレ、すごいショックだった。嫁は、オレより、都会を選んだわけだから。オレは、そんくらいの存在だったんだなって。」


東京に住んでる人からみれば、田舎の生活は、不便かもしれない。しかし、車があれば、一時間で地方都市に行けるし、田舎といっても、昔みたいにコンビニがないわけでもない。コンビニも沢山ある。


「リョウタは、なんで、こんな田舎に来たんだ?しかも婿だろ。そんだけ奥さんのこと好きだったんだ?」


「もう京子と、別れたくなかったし、場所なんて関係なくて、一緒にいれれば良かった」


「やっぱ、そんだけ好きだったんだな。リョウタ、専門学校のとき、彼女にフラれて、荒れてたよな。大丈夫かなーと思ったけど、卒業してから、オレたち、会わなかったしな。でも、彼女と結婚できて、良かったじゃん」


「まあな。息子もできたし」


翼くんが、ビールを吹き出した。

「えっ、リョウタ、子供いんの?!まじで?リョウタがパパかよー。息子さん何歳?」

「3歳だよ」

「3歳って、そんな早く結婚したのかよー。結婚願望のなさそうだったリョウタがねー。驚きだー」


「今度見に来いよ。オレ、そっくりだから」




あの専門学生だったリョウタが、パパになれば、さすがに、同級生も驚くかもしれない。



私も、あの頃のリョウタを思い出すと、今、こうして一緒にいれるのが、信じられない。



あの頃、私は、いつも、リョウタを温めていた。









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