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読んで安心童話シリーズ

世界で あ・そ・ぼ

「おにごっこをしようか」と、神様Aが言い出しました。


「いや、私は かくれんぼが したい」と、今度は神様Bが。


「うーん、僕は だるまさんが転んだが いい」と、横から神様C。


 3人の神様は退屈で、何か遊びがしたいのです。


 神様AとBとCが あーだこーだと言っているうちに、神様Dが通りがかりました。

「おう! 神様D!! いきなりだが、オニになってくれ!」

 いきなり指名された神様Dはキョトンとして、自分を指さしながら「え? オレ?」と何故か照れています。

「無理だよオレ。そんなカンフーの才能なんて無いし。いきなりオー・ニーに なれだなんて……」


 オー・ニーって誰でしょう。


 それは さておき、神様Aは神様Dを その大いなる神パワーで脅迫しました。なあに、ちょっと力の差を見せつけただけです。ああ こんな所で力の格差社会が。

「諦めな。下っ端の お前にゃ逆らう権利など無い。おとなしく俺らの言う事を全部聞くんだな」

と、神様A。Aがリーダー格かもしれません。

「は? ……全部?」


 神様A 「おにごっこ」

 神様B 「かくれんぼ」

 神様C 「だるまさん(が転んだ)」


 神様A・B・C 「オニ、よろしく」


 ああ本当だ! 全部オニが居るんですね!

 ……って、納得してますか? 神様D……。


「仕方ない……下っ端の宿命……よーーい、ドンッ!!」


と、神様Dも なかなかの無茶ぶりで、1から数を数え始めました。「いーち、にーい、さーん、……」

 神様A・B・Cは神様Dから離れて行きます。

 目を閉じながら数を数えている神様Dですが、内心どうしようかと脳内を巡らせています。

 まぁいっか。何とかなる。

 気楽に考えます。


 ……


 カウント100まで数えた後、「もーいーかーーい?」と神様Dが振り返りました。

 誰も居ません。ひゅるりりり。

「もーいーだろーという事にしておこう。さてと……それぞれ、どうやって捕まえようか……。何しろ、世界は広いからなー」


 逃げるA。隠れるB。止まるC。……まとめると、こういう事です。


「とりあえず姿を見つける事が先決だ。まず……」


 水を 無くせ。木を 刈れ。

 一滴も残すな。一本も残すな。

 星を丸裸(地表)にしてしまえば、隠れる事なんてできない。そうだ、そうしよう。


 神様Dは その大いなる神パワーで、早速 実行に移しました。

 そして、この星は根も草も無い もはや土の塊に。

「あっ、神様Bっ、見つけたぞ!」

 神様Dは、見晴らしのよくなった地表で、神様Bの姿を捉えました。

「ちぇっ、見つかっちゃったか!」

 神様Bは、くやしそうに神様Dの元へ戻ってきます。

「後は神様AとCだね。ウウン、何処に居るんだろう」

 神様Dは考え込みました。逃げる神様Aと……。

「そうだ。星を一周するように壁をつくって繋げて、逃げ道を塞ごう!」


 神様Dの思いつきで、星をグルリと一周するように電流の壁をつくりました。触ると高圧電流が伝わるように。もし触ってしまったら、生きている保障は ありません。

 こんな事が出来るのも、大いなる神パワーの おかげです。

「さてと。ちょっと走って神様Aを、追い詰めよう」

と、神様Dは適当に決めた方角に直進してみました。

 すると、ラッキーです。割とすぐに神様Aの姿を発見しました。「見つけたぞ!」

「うわっ、見つかった! 逃げろ!」

 神様Aは走り、逃げます。しかし……目の前には、神様Dの つくった電流の壁が。これのせいで退路が ありません。

「くっ……! これは、触れない」

 目の前に立ちはだかる壁を睨みながら、神様Aは舌打ちします。

「捕まえた!」

 そのうちに、神様AはDにタッチされてしまいました。「くっそ〜〜!!」

 くやしがる神様A。「仕方ないよ!」と慰める神様B。

「後は神様Cだな」

 神様Dは目を閉じて言います。「だーるーまーさーんーがー……転んだっ」


 ぱっと、目を開けると、遠く遥か向こうの地平線に神様Cの姿が。

「だーるーまーさーんーがー……」

 再び神様Dが目を塞ぐと、神様Cが こちらに向かって突進して来ます。猛スピードで。

「転んだっ」

 ピタリ。

 寸分 動かず、神様Cは停止。このままだと簡単にタッチされてしまいますが……。

(ふっふっふっ。すでに罠は仕掛けてある。来るがいいさ、神様C!!)

 不適な笑みを浮かべて、また「だーるーまーさーんーがー……」と。

「オラオラオラぁッ!!」

 神様Cが……。

「オラッ!?」


 ズドンッ!!


「オラぁ〜〜〜〜〜〜!!」「転んだっ!」

 ヒュルルルルルル……

 ……

 なんと、神様Dのそばに、深い深い落とし穴が仕掛けてあったのです。

 それを知らない神様Cは、見事ハマって まっさかさま。たぶん無事です。神様なんで……。

「動いたぞ! 神様C!!」

 いや、落ちましたけどね。

「これで全員、捕まえた!」

 神様C、放ったらかし?


 すると頭上に、鮮やかなエンジ色をした光が現れました。


「 コ ラ ァ ッ ! !  何 さ ら し と ん ね ん 、 神 ど も ! !  さ っ さ と 遊 ん だ ら 、 片 付 け ん か い っ ! ! ! 」


「はあ〜〜い……」


 突然 現れた怒声。神様AとBとDは、素直に返事をしました。


 ひょっとして、神様X?


 何とか自力で穴から這い上がってきた神様Cと一緒に、神様たちは後片付けをし始めました。

 その大いなる神パワーで、大地を元の緑に。水を湧かし。空には雲が。地上には動物が。光が。風が。

「ふう。……これで元通りだね。……オヤ?」

 何かを、忘れているような気がしました。「何だっけ? 何かが足りてないような。ま、いっか」

 神様たち一行は、遊び疲れてクタクタになって帰って行きました。


 何か この星に足りないもの?

 それは、始めは4本足、次に2本足になって、3本足になるものです。



《END》





【あとがき】

 人間。

 そういえば、何で「人の間」と書いてニンゲンなのだろう?? ……という余計な疑問が……。


 ご意見・ご感想など お待ちしています。

 ありがとうございました。



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― 新着の感想 ―
[一言] おもしろかったです。ストーリーもノリも、単純に楽しめました。 神様だからなんでもアリ……壮大で気持ちがいいですね。 しかしそうなるとひとつだけ、神様Aが電気の壁ごときで無抵抗に捕まってしまう…
[一言] どうもこんちは。 現在の作品のに2かもしれない、とあらすじに書いてあったので先にこっちを読んでみました。 面白い。やはり、あゆみかんさんの作品は思い切りさがすがすがしいです。そして規模がでか…
[一言]  ほのぼのしていて、気を抜いて軽く読むことが出来ました。最後に少しだけブラックなオチが入るところあたり、いつものあゆみかんさんだなぁと思い、安心しました。  『神様A』や『神様B』という書き…
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