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ゾンビゲーム   作者: 坂本彰
8/13

心ある殺人鬼

「..........岡本.......」

岡本は自分の思いをぶちまけて死んだ。無惨に殺された。

岡本の最期はあまりにも無様だった。

坂野はゾンビの存在に気がついた。20体のゾンビは銃を下ろし、律儀に隊列を組むとその場から去って行こうとした。

坂野にはその行動一つ一つが腹ただしかった。坂野はポケットから拳銃を取り出した。


「ウワァァァァァぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!」



雄叫びと共に坂野が引き金を引いた。森の中に銃弾の音が響き渡った。その音は、一発では終わらなかった。坂野は弾がなくなるまで撃ちまくった。

2体のゾンビがその場に倒れこんだ。その他のゾンビはまるで何事もなかったように森の中へと消えていった。坂野は、ただその様子を見守るしかなかった。

坂野はしばらく放心状態で、ぐちゃぐちゃになった岡本の横に倒れこんでいた。何もする気が起きなかった。岡本が最後に見せた本音が坂野には重たくのしかかった。

岡本は自分のことを恐れていた。自分のやった事は岡本を無惨に殺したゾンビと何も変わらない。なのに、みんなには生きろと言ってみたり、恐がるなって言ってみたり.........

そんなの........めちゃくちゃだ。


坂野は何かを決心したように立ち上がった。そして空になった拳銃を捨てると、坂野が倒した2体のゾンビの所へ行った。ゾンビは不意に撃たれたので2体とも、うつ伏せで倒れていた。坂野は足で乱暴にゾンビをひっくり返した。仰向けになったゾンビの表情はあまりにも愚かで気持ち悪くて坂野に怒りを注ぐだけだった。

「.......俺は....お前らとは違う.....」

坂野はそう吐き捨てるとそのゾンビからライフルを奪いさった。

ライフルを手にした坂野は、岡本の横を通りすぎ、茂みの中へ入って行き、生い茂る草木や枝を無理矢理払いのけて、突き進んで行った。やがて茂みを抜けると、小さな小道に出た。すると、さらに茂みを挟んで下に、岡本の言った通り、小さな川が見えた。坂野はそれを確認すると、どんどんと川沿いの道を下って行った。しばらく行くと、小屋らしき物が見えた。

「..........あれか.....」

坂野は駆け足で小屋の前まで来ると、少し力を入れればすぐに壊れてしまいそうなボロボロの扉を開けた。

扉を開けたとたん坂野は吐き気をもよおした。小屋の中は、

陰気で薄暗く、何よりも生臭かった。そして坂野の目に移った物。それは死体だった。人間の死体。坂野にはその死体に見覚えがあった。いや、坂野だけじゃない、プレーヤーの誰もがその死体に見覚えがあった。一見チャラそうな見た目と違い、持ち前の判断力で皆の進むべき方向を示してくれた勇気ある青年。坂野の目の前にある死体、それは太田だった。

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