作戦会議
だんだん自分でも書くのが楽しくなって来ました!
まだまだ頑張ります。
「つまり、まず僕たちが考えなきゃいけないことは、ゾンビの数と対処法です」
太田昇。坂野、成田に次ぐ第三位の男だ。体は決して逞しくなく、髪は茶髪で一見チャラそうなイメージの男だったが、
彼がしゃべりだすとそのイメージは一変した。みんなは太田を囲むように小さな輪になって立っていた。坂野と大野は、常に周りの様子を伺っていた。
「僕たちはこの島にどれだけのゾンビが潜んでいるのかまったく把握してません、もし少量の数であるのならば倒すことを考えましょう。大量の数であるならば逃げることを考えましょう。みんなの意見を一致させた方が行動に出やすいと
思うんです」
「.......少量の数ってどれくらいだよ.....」
「僕たちは今この場に24人います。選ばれてここに来たということを考えれば男女の区別はなしにします。刑事さん、いいですよね?」
雪はうなだれたように座りこんでいた。
「刑事さん!」
太田はもう一度雪に声かけた。雪は慌てて顔をあげ、返事をした。
「はっはい!大丈夫です!」
坂野はちらっと雪を見た。
「だったら簡単です。少量っていうのは10人前後少なくとも僕らの人数、つまり24人以下ってことです。これだったら僕達が有利な立場で戦えます。倒してしまえば殺される心配はありません」
「.......なんかそんな感じはしないけどな....」
「....俺も」
「第一どうやってゾンビの数、分かんだよ!どこから出てくるかも分かんねぇのに」
太田は頷きながら言った。
「問題はそこです。いつどこでどれだけの数のゾンビが襲ってくるのか、僕達にはまったく分からないんです。だからまず僕達ががなきゃいけないことは対処法です」
「対処法?」
「.....対処法ったって...俺達手ぶらだぜ?あるのは坂野が2体のゾンビを倒して手に入れた斧2本だけだし....」
その斧は坂野と大野の二人がそれぞれ1本ずつ手にしていた
「そこで提案です。やっぱり対処するにはこちらも武器を持つしかないと思うんです」
「....そりゃそうだぜあんなの手ぶらで勝てる訳ねぇ」
「だからこれから僕達は2つのグループに分かれます」
「2つ?」
「どうやって?」
「何を基準に分けんだよ?」
太田は坂野と大野を見て言った。
「ゾンビから逃げるチームと、ゾンビから武器を奪うチームです」
「武器を奪う?」
「どうやって奪うんだよ?」
「俺怖えーよ!」
「落ち着いてください。別に半々に分けるとは言ってません
。できる人がやればいいんです」
「できる人ってそりゃあ.....」
みんなの視線が坂野と大野に向いた。
「俺は構わねぇぞ!もう逃げないって決めたしな!兄ちゃん」
「あぁ、ゾンビから武器を奪うってことは簡単な話し倒してしまえばいいんだろ?」
太田は頷いた。
「はい、ゾンビ全員が斧を持っているとは思えませんがそれなりの武器は持ってるでしょう。なるべく多くお願いします
今ちょうどゲームが始まってから二時間ちょっとが経ちます
どうしますか?もうちょっとで集合かかりますけど」
「いや、もう行くよ。なるべく早い方がいいだろ?」
「.......そりゃそうですけど....」
「それよりそっちはどうすんだ?武器なしで大丈夫かよ?」
「こっちはこっちで二人か三人ずつに分かれます。そうすれば万が一のことがあっても逃げやすいですし、この島の探索も兼ねればちょうどいいと思うんです」
「そっかじゃあ頼むぜ太田!....お前なんか見た目とイメージ違うな」
太田は急にうつ向いてしまった。
「.......僕は....つるんでただけですから....こうゆう連中と...本当は嫌だったんですけど中々言い出せなくて
しょうがなく....」
太田はボソボソと言った。坂野はそんな太田を気にせずに
ポンっと太田の肩を叩いた。
「....まぁいいや!頼りにしてるぜ太田!」
太田は坂野の言葉に驚いたように顔をあげた。
「........頼り....?....」
太田は坂野の顔を不思議そうに見ながらそう呟いた。
坂野は、もう一度太田の肩をポンッと叩き、他のプレーヤーの方へ歩みよった。
「お前らも頼むぜ!いいか、絶対に死ぬな!こんなことで自分を終わらしちゃいけない!絶対、絶対生きて帰るんだ!」
「分かってるよ坂野!」
「お前らもな!」
「なるべく早くしてくれよ!」
「あぁ!もちろんだ!すぐに持ってくるからな!」
プレーヤー達に手を振り、坂野と大野は、並んで歩きだした
「待って!」
二人を呼び止める声が聞こえた。二人は驚いて振りかえると
そこには雪が立っていた。
「なんだお前?まだ俺を捕まえるとかのん気なこと言うんじゃないだろうな?」
雪は、ズボンのポケットに手を入れた。
「私もそっちに参加するわ。これがあるから」
雪がポケットから何かを取り出した。
「お前.....それ....拳銃じゃねぇか」
坂野と大野は顔を見合わせた。
「あなたを捕まえるのには一筋縄ではいかないと思って持って来たんだけど.....効くわよねゾンビに.....」
「......お前......大丈夫なのかよ......」
坂野は心配そうに雪を見つめた。
「あなたに心配される筋合いはないわ。私は早くあなたを刑務所に放り込みたいだけなんだから!」
雪は強気でそう言ったが、その表情は言葉と違い、恐怖でひきつっていたことに坂野は気づいていた。