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ゾンビゲーム   作者: 坂本彰
2/13

戦闘開始

「なんだよこの女!」

「勝手に入って来やがって!」

「君......勇気あるね」

雪は坂野の腕を掴んだまま放さなかった。坂野は抵抗せず、

驚いて雪の顔を見つめていた。

エレベーターはゆっくりと、地上に向かって上がり始めた。

「坂野.....こんな所で何やってんだ?」

「.....それはこっちのセリフだよ...姉ちゃんこそ何やってんの?」

「坂野...お前自分のやったこと分かってんのか?」

坂野は事情が分かったのか、納得したようにニヤけた。

「なるほど.....姉ちゃん刑事か?」

「刑事?なんだよ勝手に紛れこんだの?」

「このゲーム政府しか知らねぇんじゃねぇの?いいのかよ

警察が入っちゃって」

「っていうか俺結構心の準備してたんだけど」

「刑事さんも参加する?」

「うるさい!お前らは黙ってろ!私はこの男に話してんだ」

「.....怖ぇぇ」

「さすが女刑事」

雪は、構わず坂野を睨んだ。坂野は、雪を睨み返した。

「......あの....二人とも悪いんだけど...」

エレベーター内の奥の方から一人のひょろひょろな男が二人の前に出てきた。

「見た感じ、君は坂野大樹君だよね?ほら、警官を三人も殺して全国指名手配犯になったっていう」

「マジか!?お前あの坂野大樹?」

「何でこんな所にいるんだよ!」

「そういえば何かニュースで見たような....」

坂野は、ひょろひょろな男を睨んで言った。

「だったらなんだよ」

ひょろひょろな男は、坂野にびびったのか顔が一気に青ざめた。

「.......いや....違うんだ....その...何でもないよ」

ひょろひょろな男は、そう言うとまた奥の方に下がっていった。

その時エレベーター内に、声が響き渡った。



《さあ!プレーヤーのみなさん!まもなく到着ですよ!ゾンビを見ても決して恐れず勇敢に立ち向かってくださいね!》


まもなく、エレベーターは地上に出た。雪を含めた、プレーヤー達は、エレベーターから降りた。

「....何だここは?...森か?」

プレーヤー達が降り立った場所はどうやら島の中心に位置する森の中のようだった。




《みなさん!後ろをご覧ください!》



プレーヤー達は一斉に後ろを振り返った。すると先程まで

乗っていた、エレベーターの横に巨大モニターがあった。

「うわっ!びっくりした~~」

「こんなのあったんだ」

「何だこれは?」



ブン!



突然モニターが光だした。そしてプレーヤー、一人、一人の

名前と、その横に金額が写しだされた。

「.....なるほど....現在の状況か.....」


《その通りです!みなさんの名前の横に出ている金額は、みなさん一人、一人に今賭けられている金額の状況を表しています》


金額は目まぐるしく変わっていき、その度にプレーヤー達の

名前の位置が入れ替わっていった。

「....ランキングみたいなこと?」



《そうです!上から順に賭けられている金額が大きい人が並んでいます》


「そんなこと知らせたって、俺達には関係ねぇだろ」


《とんでもない!このランキングはプレーヤーのあなた達に

とってかなり重要なランキングなんですよ!》


「重要?なんだよ、なにか特権でもあんのかよ」



《今からみなさんは三時間後にこの場所に集まってもらいます。そしてその時に一番金額が少なかったプレーヤー、つまり一番期待されていないプレーヤーには、このゲームから消えてもらいます》



「消えてもらう!?」

「消えるってどういうことだよ!」

「.....まさか....殺されんのか?ゾンビに」



《そうです!正確に言えばゾンビに襲わせるのです》



「ゾンビに襲わせる?」



《カメラはただゲームの様子を映し出すだけじゃないですからね!》



「なんだと!?」

「そんなのおかしいだろ!」

「.....あくまでもゲームの中でってことか.....」



《参考までに、現在のランキングをみなさんにお教えしましょう、こちらです》



1位 坂野 大樹 24億6640万円

2位 成田 翔 19億8270万円

3位 太田 昇 10億2180万円

4位 小林 悠斗 8億8860万円

5位 木本 拓也 7億5530万円

6位 橋田 遼 6億9200万円

7位 大野 隆明 4億4490万円

8位 鈴木 康太 3億5340万円

9位 山本 光 3億 200万円

10位 加藤 進一 2億8140万円

11位 中井 優奈 2億6480万円

12位 平野 美姫 1億9870万円

13位 倉田 輝 1億6560万円

14位 佐藤 健三 1億4950万円

15位 長谷川 真理子 1億2380万円

16位 岡本 雄太 1億 500万円

17位 広田 仁 8500万円

18位 工藤 亮太郎 7620万円

19位 松本 剛 6070万円

20位 宇野 健介 4410万円

21位 佐々木 百合香 2650万円

22位 藤谷 淳也 2270万円

23位 中野 信人 1980万円

24位 市川 凛 510万円



「.....すげぇ.....本当にこんな金額でやってんのかよ」

「何か........よく分かんねぇや」

「そんなことよりさ、やっぱり1位は坂野大樹じゃねぇか、すげぇな」

「一人だけ20億突破かぁ」

坂野と雪はモニターを見つめて黙っていた。坂野はじっと見つめていたが、雪は何が起こっているのか

分からないようで驚きの表情で見つめていた。

「でもよ~~その下の成田って奴もすげぇよ!もう

ほぼ20億じゃねぇか!」

「そうだな、坂野と成田の二人だけ飛び出てんな」

「誰だ?一体成田って」

全員が一斉に周りを探した。すると一番後ろに立っていた男が恐る恐る手を挙げた。

「.............僕.........です........」

その男は先程雪と坂野の間に入って来たひょろひょろな男だった。

「おい!お前か成田って!何でこんな弱そうな奴が

2位なんだよ!」

「お前も何か罪犯したのか?」

「.............いや.........そういう訳じゃないんだけど」

「だったら何で........」

「待ってよ!!!」

腕を組んで顔を真っ赤にした、女が叫んだ。

「何で私が最下位なのよ!このままじゃゾンビに襲われちゃうってこと?バカじゃないの!....やめるわ!こんなゲーム」

「最下位ってことは...じゃああんたが市川凛か」

市川凛は、茶髪、色白の女でとても美人だった。

「私勝手に変な男にここに連れてこられたの。だからいろいろ聞いたけど私お金に困ってないし、男も間に合ってるから

こんなゲームに参加する意味ないの。だから帰らせてもらうわ」

市川凛はそういうと歩きだした。そして一番後ろに立っていた成田の横を通ろうとした時、成田が市川凛の腕を掴んだ。

「何よ!」

「あっ!いや...ごめん...でも、やめた方がいいんじゃないかな?」

そう言って成田は、市川凛の腕を離した。

「は?」

「この島を無意味に動き回るのは、やめた方がいいと思うんだ」

「無意味?言ったでしょ?私は帰るの。このゲームにも、お金にも、この島にも、なーんにも興味ないから、帰るの」

市川凛はそう言ってまた歩きだした。

「僕だって興味ないよ」

成田が呟くように言った。

「はい?」

市川凛が振り返った。

「僕もこんなゲーム興味ないよ.....」

成田はゆっくり、市川凛に近づいていった。

「な..何よ!」

成田はゆっくり、ゆっくりと市川凛に近づいていく。

「こっち来ないで!...何のつもり?」

成田は気にせずどんどん、近づいていく。

「....興味もないし、やる気もない...だってこんなゲーム

信じられないだろ?こんなの....でも見たでしょみんな...

この下にドームがあって、その中にものすごい数の人達がいて、そして上に上がってくれば、こんな金額のお金が動いてる....そしたらもう信じるしかないじゃないか」

成田はそう言うと市川凛に向かって飛びかかった。その瞬間何かが二人の前に飛んで来た。形は完全に人だ。しかし着ている服は、かなりボロかった。汚ならしくて破れていて、とても服とは言えない。髪は、ボサボサで肩あたりまで伸びていた。そして手には..........斧を持っていた。

坂野達からは、後ろ姿しか見えなかった。しかし成田と市川凛からは完全に顔が見えた。

「....あっ....あっ....キャアーーーーー!」

市川凛が叫んで倒れこんだ。顔は完全に恐怖でひきつっていた。市川凛の様子で、その場にいた全員が何が起きたのか悟った。 ゾンビだ。ゾンビが目の前に現れたんだ。

ゾンビが二人に向かって斧を掲げておもいっきり降りおろした。斧は間一髪で市川凛の真横に刺さった。

「キィャアァァァァァーーーーーーーー!」

市川凛はその場にかがみこんだ。成田は、その場から逃げる為、一生懸命市川凛を起こそうとした。しかし、市川凛は

恐怖で全くその場から動こうとしなかった。

斧は深く地面に突き刺さったようで、ゾンビは、なんとか

引き抜こうと強引に引っ張った。

チャンスと見た成田はなんとか、市川凛を起こし、逃げようとした、その時だった。

ゾンビが斧を諦め、やっと立ち上がった市川凛の左足に噛みついた。

「イヤァァァァァァーーーーーーーーーーーーー!」

市川凛はその場に倒れこんだ。市川凛を支えていた成田も

共に倒れこんでしまった。

市川凛の足からおびただしいほどの血が溢れだした。市川凛は、なんとか引き離そうと、ゾンビのボサボサな髪を掴んだ

しかし掴んだ髪がボロボロっとちぎれてなかなか引き離せなかった。成田がなんとか市川凛を引っ張って引き離そうとしたが、ゾンビは食いついたまま離れなかった。成田は引っ張るのをやめ、ゾンビに飛びかかった。

「離せっ!こら!離せっ!」

ゾンビの肩を掴んで、なんとか引き離そうとしたその時だった。木の上からもう一体のゾンビが現れた。もう一体のゾンビは、飛び降りると、すばやく斧を振りかざし、市川凛の首をかっ切った。きれいに分断された市川凛の首が地面に転がった。ゾンビは、次に成田に向かって斧を振りかぶった。

成田は声も出ずその場にうずくまった。誰もが成田も殺られる、そう思った時だった。



ブシュッ!



斧を振りかぶったゾンビの首が飛んだ。


ドサッ



ゾンビがそのまま倒れた。

そして次にまだ首がなくなった市川凛の左足を食いついているゾンビの体が真っ二つに割れた。

成田はうずくまったままだった。

「....大丈夫か?」

成田がゆっくりと顔を上げた。するとそこには突き刺さったはずの斧を持った。男が立っていた。

男は成田の前にかがみこみ、手を差し伸べた。

「成田、お前の言う通りだ。信じるしかないんだ、何もかも......例えこの先何が起きたって......」

成田ははっきりと男の顔を見上げた。

「........坂野......大樹......」

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