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ゾンビゲーム   作者: 坂本彰
1/13

始まり

初めて小説を書いて見ました。

まだまだ続きますので、何かアドバイスなどを頂けると、

光栄です。

「これで三人目か......」

新米刑事三浦雪の前には、警官の格好をした死体が倒れていた。目はまだ開いたままで、口もパカッと開いており、とても不気味な顔だった。胸に二ヶ所刃物で刺された後があり、

そこからもうすでに止まってはいるが、血が出ていて、制服を赤く染めていた。

「やっぱりこの近くにある交番の巡査だったようです」

一人の警官が雪に駆け寄って言った。

「この辺にいることは間違いない。もっと数を増やして捜索して!必ず捕まえるのよ!」

「はい!」

警官はそう言うと、またどこかに駆けていった。雪は、死体の前にかがんで開いている目を静かに閉じた。立ち上がり、

ズボンのポケットから携帯を取りだし、電話をかけた。

「お疲れ様です。三浦です。またやられました、これで三人目です。間違いなく坂野の仕業だと思われます」

「...またか...坂野大樹...そのあたりに隠れてることは間違いねぇんだ、もうこれ以上警察がやられる訳にはいかねぇ

必ずやつを見つけ出せ!」

「わかってます.....必ず私が捕まえてやります」

雪はそう言って電話を切りポケットに入れた。雪の表情は怒りで満ち溢れていた。



夜のネオン街。怪しげな光を放った建物が並ぶ街並みを一人の男が歩いていた。フード付の真っ黒なコートを着て、フードを深々と被り、顔を隠して、ポケットに手を突っ込み下を向いて、人の目を避けるように歩いていた。

男はボロい5階建てのビルの前で足を止め、横につけられた非常階段を少し早足で上がっていった。三階まで上がって行くと、ポケットから鍵を取りだし、ドアにさしこんで鍵を開け、中に入っていった。

真っ暗な廊下を進んで行き、突き当たりの部屋の前で足を止めた。男はポケットからまた別の鍵を取りだすと、鍵を開けて、中に入った。どうやらここが男の家になっているようだった。男は電気を点けると靴を履いたまま部屋の奥の方に入っていった。フードを脱ぎ、コートを脱ぐと、簡易的に置かれたソファーの上に置いた。小さな冷蔵庫を開け、中から、

ビールの缶を一本取りだして冷蔵庫を閉め、ソファーに腰をおろした。一息つき、缶のふたを開けようと手をかけた時、

玄関のドアを叩く音がした。

男はそっとビールをテーブルの上に置き、さっとコートを羽織った。

「コンコン」

もう一度ドアを叩く音がした。男は恐る恐るドアに近づいていった。ドアの前まで来たとき、ドアの向こうから声が聞こえた。

「警察じゃありませんよ、坂野大樹さん」

その声はどこか弾んだような声だった。

男は少し驚いたが、ゆっくりとドアの鍵を開けて、恐る恐るドアを開いた。

するとそこには、まだ若い、20代、30代くらいの黒ぶち眼鏡をかけたインテリ風の男が立っていた。男はニコニコと笑っていたがかなり不適な笑みだった。

「坂野大樹さんですよね」

インテリ風の男はニコニコしながらそう言った。

「.....何の用だ?....」

「ちょっとお話したいことがありまして」

「.....話?」

「はい!」

そう言ってインテリ風な男は顔を近づけて耳元でささやくように言った。

「結構いい話ですよ」

インテリ風な男はそう言うと坂野の顔を覗きこみ、不適な笑いをした。

「......入れ.....」

坂野はそう言うとインテリ風な男を部屋に入れた。インテリ風な男はニコニコと笑いながら部屋の中に入っていった。坂野はドアの鍵を閉めて、インテリ風な男を睨んだ。

「お前何者だ?どうしてここが分かった?」

坂野は低い声で、インテリ風な男を睨みつけたまま言った。

インテリ風な男はニコニコした表情を変えずに言った。

「怖いな~坂野さん。そんな目で見ないでくださいよ」

「いいから言え。どうしてここが分かった?なぜ俺のことを知ってる?」

「まあまあ、落ち着いてくださいよ....あっ!こんなところにビールあるじゃないですか!...飲んでもいいですか?」

インテリ風な男はテーブルの上に置いてあるビール缶を手に取ると、ふたを開け、一口飲んで、ソファーに座った。

「それじゃ、さっそく話ますか!」

インテリ風な男はニコニコしながら坂野の顔を見た。坂野はインテリ風な男を睨んだまま立っていた。

「僕は青木って言います。どうしてここが分かったのかは....まぁいいでしょう。僕はあなたに招待状を持って来たんです」

「招待状?」

「はい!招待状です!」

「ふざけてんのか?」

「とんでもない!そんな訳ないじゃないですか坂野さん....僕はねあなたにあるゲームに参加して欲しいんですよ」

「ゲーム?」

「そうですよ!新しいゲームなんです。だから参加してみませんか?」

「....どんなゲームだ?」

「そうくると思った!....面白そうなゲームですよ!ゾンビと戦うんです!ゾンビ!」

「ゾンビ?....何を言ってんだ?」

「詳しく説明しますとね、ある島に行ってそこにいるゾンビと戦ってもらいたいんですよ、ゾンビと言ってもゾンビの形をした、ロボットなんですけどね、これがまたよくできてるんですよ!本当にテレビゲームに出てくるゾンビみたいでですねぇスッゴい恐いんですよ!でも一日だけ、たった一日だけゾンビに倒されずに生きていれば、とんでもない額のお金を手に入れれるんです!」

「.......なんだそのゲーム?.....とんでもない額っていくらだよ」

「おっ!食いついてきましたねぇ...金額はね~~まだ分からないんですよ」

「分からない?」

青木はここでビールを手に取り一口飲んだ。

「そうです、金額はあなたの活躍次第です。活躍すればするほどお金は増えていくんです。正確に言えばたくさん賭けてもらえるんです」

「賭ける?ギャンブルか?」

青木はニコニコしながらうなずいた。

「そうです。これは新感覚のギャンブルなんですよ!あなたは記念すべき第1回目のプレーヤーに選ばれたんです!」

「プレーヤー?じゃあ誰が賭けんだ?」

「....そりゃあもう、すごいですよ!日本中のお金持ちがすごい金額で賭けるんですよ!....おそらく何億、いや何十億、もしかしたら、何百億っていう額で行われるかもしれませんよ!....これが成功したら日本だけじゃなく、世界でこのゲームが行われてその金額は兆単位なんてことも....

どうです?凄くありませんか?」

青木の表情がより一層キラキラした顔になった。

「....分からない...何で賭けてもいないのにプレーヤーにそんな金額が入るんだ?賭けたやつがその金額を手にすんだろ?」

「.....そこですよ坂野さん....なんとプレーヤーは、ギャンブル勝者への配当金の10%をもらえるんですよ!分かりますか、ゾンビと戦って一日生き延びただけでとんでもない額がもらえるんです!」

「.......10%か....つまり俺は金持ちの遊び相手をしろってことか?」

「う~~ん、まぁそういうことですね」

「なら、やらねぇよ」

「えっ!?」

「.....やんねぇよ、そんなの....何で俺がそんな金のために命賭けなきゃなんねぇんだよ」

坂野がそう言うと青木は、それまでのニコニコ顔を止め、真剣な顔で言った。

「......分かってますよ....あなたがそう言うと思って僕も頑張りましたよ...もしもあなたがこのゲームに参加してくれるなら....全部取り消してあげますよ....」

「取り消す?」

「ここ最近起きた3つの警官殺し.....すべてなかったことにしてあげますよ....」

「.......出来んのか?....そんなこと....」

「....これは国をあげたビジネスなんです....つまりこのゲームの主催者は政府。そして僕はその政府から、あなたをプレーヤーとして参加させるように説得しろって言われてるんです」

「......なるほどな.....」

「警官を3人も殺し、今や全国指名手配犯として有名なあなたが参加すれば、それだけで金額は上がるんですよ」

「....別に俺だって殺したくて殺した訳じゃない、向こうがやってくるからそれに対抗してるだけだ...」

「......そんなことどうでもいいんですよ.....ようはあなたが参加することが大事なんです.....それにそういうことなら、尚さら罪を取り消しにしたいんじゃないですか?」

「.....確かに....それもそうだな....」

「それに、僕もただ黙ってこんなゲームを見ているっていうのも嫌なんでね......」

「どういう意味だ?」

青木はニヤリと笑った。

「それはですね..........」


「駄目です!誰もいません!」

「.......逃げられたか....」

雪は先ほどまで坂野と青木が話していた部屋の中にいた。

部屋の中には誰もおらず、雪は二人の警官とともに、そこに立ち尽くしていた。

「もしかしたら何か手がかりがあるかもしれない。徹底的に調べましょう」

「はい!」

雪は二人の警官とともに坂野の部屋の調査を始めた。

雪と二人の警官はしばらく調べていたが坂野の居場所の手がかりになるようなものは見つけられなかった。

「たぶんここにまた帰ってきますよ、見張りつけときましょう」

「そうね....そうしましょう....あなたたちお願いできる?」

「分かりました!任せてください」

そう言って警官二人は部屋を出ていった。雪は一人坂野の部屋に残った。振り向いてもう一度周りを見渡した。

「ここが.....人を三人も殺した男の部屋.....坂野大樹

お前だけは絶対に捕まえてやる」

雪はそう呟いて部屋を出ようと、振り向いて足を踏み出したその時、雪は足に何かが当たって転びそうになった。

驚いて足元を見てみると、どうやらゴミ箱に当たって、倒してしまったようだ。雪は倒れたゴミ箱から、散らばってしまった、ゴミを片付けようと、ゴミを拾い集めていると、その手が、急に止まった。



坂野と青木はとある島に上陸した。

「どこなんだ、ここは?」

「この島がゲーム会場なんです」

「なに!?この島全部か?」

「そうですよ、楽しそうじゃないですか?」

「.....さあな....やってみないと....」

「それはそうと坂野さん、昨日、僕が渡した招待状、どうしました?」

「あっ?....あ~~あれか.........捨てた」

「捨てた!?どこにですか!?」

「......どこって.....ゴミ箱だろ.....」

「ゴミ箱!?家のですか?」

「.....なんだよ....ダメなのか?」

「坂野さん....あなた自分の立場分かってます?あなたは殺人犯なんですよ?本当ならば警察に捕まっているはずのあなたが今ここにいるんです。ということは、警察はあなたを追ってるんです。今も。警察だってバカじゃない遅かれ早かれあなたの隠れ家を警察が見つけだすのは時間の問題です。そうすれば警察はあなたの部屋を調べる。もしもそこから僕があなたに渡した招待状を警察が見つけたらどうするんですか!?」

「いいだろ別に....このゲームは国が始めたんだろ?警察だって立派な国家だろ」

「......これだから強い人は.....いいですか坂野さん!

僕言いましたよね?これは新しい商売なんです。このゲームが上手くいくかいかないかは、この第1回目にかかってるんです!つまりこのゲームはまだ公にされちゃ困るんです。だって殺人犯のあなたを参加させるぐらいなんですから、坂野さんよく覚えといてください。このゲームの存在を知ってるのはこのゲームの主催者である政府、それからこのゲームのある意味主役とも言える日本中から集まってきた大金持ちの賭け人達、そしてあなたを含めた24人のプレーヤー。これだけなんです!絶対この他の人間には知られちゃいけないんです!...分かりましたか?」

「分かったよ.......ったく面倒くせぇな....それで他のプレーヤーはどんな奴等なんだ?」

「..........価値のある人間です......」

「......価値のある人間?」

「.....そうです.....政府が何年もかけて、日本中から探し出したこの国で最も価値のある24人.....それがこのゲームの重要な役割を担うプレーヤーなんです」

「.......俺もその中の一人ってことか?」

「.....そうです...」

「なんか面白くなってきたな....このゲーム」

「まずはギャンブラー達にあなたたちプレーヤーを紹介しなきゃなりません、坂野さん僕についてきてください」

青木はそういうと乗ってきたボートからスコップを取りだし地面を掘り始めた。

「何やってんだ?」

「実は、ギャンブラー達はこの島にいるんです、あそこにある木を見てみてください」

青木は、二人の少し先にある森の方を指さした。坂野は青木が指さした方をよくよく見てみると森の中の一本の木の枝に、光るものが見えた。

「....何だあれは?」

「カメラです」

「カメラぁ?」

「はい。この島にはあらゆる所にカメラが仕掛けられていてあなたたちプレーヤーとゾンビとの戦闘を見てるんですこの下で」

青木はスコップでしばらく地面を掘っていたがしばらく掘るとカーンという何かに当たった音がした。

「ほら、これです。地下に行く方法はいくつかあるんですがこの方法が一番手っ取り早いんで」

坂野が青木の掘った後を覗いてみると、少し錆びた鉄板が

出てきた。青木は今度は横に掘り始めた。すると青木の掘った所から、ドアノブが出てきた。青木はポケットから鍵を取りだし、ドアノブの下にある鍵穴に差し込んだ。

「ずいぶんと原始的じゃねぇか」

「ちょっとゾンビにお金かけすぎたんですよ.....ほら行きますよ」

青木がドアノブを回して力強く押した、すると鉄板がゆっくりと地面の中に向かって動き始めた。しかし鉄板が重いのか鉄板が途中で止まった。青木は手で押すのを止め、足で鉄板を押した。それでも中々鉄板は動かなかった。

「....すいません...思ったより頑丈に出来てるみたいで....」

「.....どけ」

坂野は奮闘する青木を手で払い除けると、鉄板の前に立ち、足を上に上げ、おもいっきり降り下ろした。するとものすごい衝突音と共に、鉄板が地面に向かってみるみる動きだした。そして全開まで開くと中にトロッコが現れた

「.......お見事....」

「何だ?これは?.....まさかこれに乗って行くのか?」

「その通りです」

青木は、言うも早く現れたトロッコに乗り込んだ。

「ほら、行きますよ坂野さん」

青木は坂野に手をさしのべた。坂野は青木がさしのべた手を払い除けてそのままジャンプしてトロッコに乗った。そのせいかトロッコが大きく揺れた。

「ちょっと~~坂野さん危ないじゃないですか~~」

「.......うるせぇ....早く行くぞ...」

トロッコに乗り込むと初めて地下の様子が分かった。そこは

かなり掘られたのか、島の下全体が空洞になっており、明かりは所々に置かれた小さな豆電球だけで、とても薄暗く、声を出すとかなり響いた。そしてトロッコが置いてある場所から下に向かって一気に線路が引いてあり先の方は、暗くて一体どこに繋がってるのか坂野には分からなかった。

青木は、坂野に引き立てられ、急いでトロッコのブレーキのレバーを上に上げた。するとトロッコは勢いよく走りだし、どんどんと、下り始めた。

「あっ!」

急に青木が叫んだ。

「......っんだよ急に....うるせぇな.....」

「坂野さん!ドア閉めました!?」

「ドアぁ?......あっ.....閉めてない....」

「何やってんすかぁ~~坂野さん....」

「あのドアを閉めんのはお前の役目だろ?」

「だって坂野さん急に飛び乗るから~~~」

「.....でも、大丈夫だろ...この島に来るのは関係者以外いないんだろ?だったら誰か閉めてくれるよきっと...」

「......きっとじゃないですよ.....もぅ.....」

「......悪かったよ....」

二人がそう話している間にもトロッコはどんどん進み、やがて大きなドーム状の建物が二人の目の前に現れた。

「ドーム?」

「はいまさにあれはドームです。ちょうど東京ドームと同じ形同じ大きさに建てられています」

「.....よく地下にこんなでけぇ物作ったな....」

「ギャンブラー達はあそこにいます。あそこには大型モニターがあってそれで映像を見るんです」

「.....あんなでけぇってことはそれだけの数がいるってことかよ.....」

「その通りです....あの中で一万人の金持ちがこのゲームを観覧し、そして賭けるんです」

「つまり、あそこがギャンブル会場か....」

「.....そういうことです....」

青木はトロッコを入り口の前まで走らせ、レバーを下ろしトロッコを止めた。そして二人はトロッコから降り、ドームの前に立った。

「....まんま東京ドームじゃねぇか....」

「....そうですよ....でもプレーヤーはここからは、入りません。ついてきてください」

そう言うと青木は歩きだした。二人はドームに沿って歩いて行き、ちょうどドームの真横まで来たとき青木は足を止めた

「ここです」

そこにはごく普通のドアがあった。そしてそのドアには、

「プレーヤー専用入口」

と、書かれた張り紙が貼ってあった。二人はそのドアから中に入っていった。

「控え室がありますのでそこに案内します」

「.....ボクサーかよ.....」

二人は中に中に進んで行き、一つのドアの前で止まった。そのドアには、

「控え室」

と、書かれた張り紙が貼ってあった。

「おそらく、みんな揃ってると思います」

「....価値のある人間か?」

「はい」

「......そりゃ楽しみだ」

青木は勢いよくドアを開けた。



その頃、雪はたった一人で坂野達がいる島にたどり着いた。手には、昨日坂野の部屋のゴミ箱から見つけた、招待状と書かれた紙を持っていた。

「....ここに.....坂野がいる....絶対に捕まえてやる」

島の内部へと、進もうとした時、地面に穴が空いてることに気がついた。

「.......これは....なに?」

雪は、穴の中を覗きこんだ。中は薄暗くてよく見えなかったが、何か線路らしきものが見えた。

「....もしかして....この中に何かあるの?」

雪は思いきって線路の上に飛び降りた。線路はずっと下に向かって伸びていた。雪は線路の上を上手くバランスをとりながら、駆け足で降りていった。線路はかなり長く、雪は息が切れそうになったが、それでも走るのを止めずにどんどんと降りていった。すると目の前に大きな建物が現れた。雪は正面まで来て立ち止まり、疲れて膝に手をついた。

「....ハァ....ハァ...なにこれ......東京ドーム?」

雪はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、ゆっくりと入り口に向かって歩きだした。

雪は正面入口からドーム内に入っていった。すると中から大歓声が聞こえてきた。

「......何が行われてるの?」

フィールドの方に進んで行くと、ステージが見えた。そして

スーツをきた黒だかりの人達がステージに乗っている人達に歓声を送っているのが分かった。

「.........コンサート?....こんな所で?」

雪はスーツ姿の人達で埋まった、観客席の一番後ろに立った

ステージに乗っている人達は一体誰なんだろう。どうしてみんな高そうなスーツを着ているんだろう。一体ここで何をしているんだろう。疑問でいっぱいだったが、雪は坂野を探すのに専念した。とはいっても、これだけの数の人達から坂野一人を見つけ出すのは簡単なことではないので、雪は目の前で一際大きく歓声をあげていた、金髪のスーツ姿の男に聞くことにした。

「....あの...」

雪は、金髪の肩を叩いた。金髪は、驚いて振り返った。

「なんだよ!あんた!」

金髪は、少しイラついたようだった。雪は構わず続けた。

「.....私....何も知らないでここに来ちゃったみたいで、

......これ....何ですか?」

「あぁ、あんたも?俺も親父に面白いゲームがあるからって

ここに来させられたんだよ、それで来てみたらこんな感じになってたからさ」

「あの.....ステージにいる人達は誰なんですか?」

「あれ?知らないの?さっき司会のやつ言ってたじゃんこのゲームのプレーヤーだってよ」

「プレーヤー?」

「何かすんげぇリアルなゾンビと戦うんだってよ、それで俺達は、誰が生き残れるか賭けるんだよ!何か面白そうだからさ、俺なんかもう200万だしちゃったよ、姉ちゃんは誰に賭けた?」

「......誰?」

「何だそれもわからないの?だったら俺が教えてやるよ、ちょっと遠くて見えづらいけど、一番右端に面倒くさそうに、立ってるでけぇ男いるだろ?あいつに出しときな、あいつなら間違いなく生き残るよ」

雪は言われた方向を見た。確かに見た目かなり強そうな男が

面倒くさそうにポケットに手を突っ込みながら立っていた。

その男を見た瞬間雪はハッとした。遠くて見えづらかったが

あの男は間違いなく同僚を三人も殺した罪深き男。憎き男。

ずっと追い続けた男。坂野大樹だった。

「.........いた.......」

雪はそう言うと同時に走りだした。一万人の観客を掻き分けながら無我夢中で坂野に向かっていった。坂野はそんなことまったく知らずただただ突っ立っていた。



《それでは!会場の皆さん、さっそくゲームを初めていきましょう!プレーヤーの皆さんは地上へと続く、このエレベーターに乗ってもらいます!》


司会の男がそう言うと、ステージのちょうど中央にエレベーターが、現れた。ステージに立っていた、人達はそのエレベーターに乗り込んでいった。

「坂野!待て!坂野ーーーーーー!」

雪は観客に埋もれながら、精一杯の声で叫んだが歓声にかきけされてしまった。

雪は叫びながらとにかく、前へ、前へと進んでいった。

「.....ハァハァ....どけ!....どいて!...坂野!....おい!待て!坂野!」

坂野は、一番端に立っていたので、一番最後に乗り込むようだった。雪はなんとか、ステージの下の席まで進んでいった坂野は、もうすぐに乗り込む所だった。雪は柵をのりこえてステージに続く階段をかけ上がっていった。側にいた警備員が驚いて雪に駆け寄って来た。

「ちょちょちょっと!何やってるんですか!?」

「うるさい!どけ!坂野!待て!」

坂野がやっと、エレベーターに乗り込んだ。



《プレーヤーのみなさん!地上についた瞬間ゲームスタートです!それではみなさん楽しんでくださいね!》



すると坂野が乗っているエレベーターのドアが閉まり始めた

雪は警備員に抑えつけられていたが、警備員の腕を掴むと、そのまま投げた。そしてエレベーターに向かって突進した。

エレベーターのドアがゆっくりと、閉まった。

「なっ何だ?お前!」

「.....ハァ....ハァ....やっと...やっと捕まえたぞ

坂野大樹!」

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