第一章 拉致られました
「話? なんだそれ」
なんとなくろくな話をしなさそうな予感がするんだが。
「うん、単刀直入に言うね。兄さんには軍隊に入隊してほしいんだ」
「…………」
「軍隊に入隊してほしいんだ☆」
「2回も言わなくていいよ! なんだよ軍配って!」
「いや……軍隊だよ? 兄さん」
「わかってるよ!」
いきなりこんなことを言われて混乱しない奴のほうがおかしいと思う。
「で……軍配がどうしたんだ?」
「軍隊なんだけどな……。まあいいや。ところで兄さん、宇宙戦争対策機構は知ってるよね?」
「ああ、知ってるさ。確か最近できた宇宙戦争がどうのっていう組織だろ」
そう。ここ最近で地球の技術は大幅に進歩し、ついに宇宙に生命体が存在することが確認されたのだ。しかもその宇宙人は極めて高度な技術を所持しており、時のアメリカ大統領アンデル氏が地球を代表して軍事同盟を組んだんだっけか。それをきっかけに地球の技術はうなぎのぼり。とうとう万能型アンドロイドとかいうのを発明したらしい。もっとも、俺みたいな普通の高校生には関係の無い話だけど。
「でも、それがどうしたんだ?」
「その中にね、特殊軍事用アンドロイド【シュロム】っていうものを扱っている秘密部隊、その名も【リッターオルデン】という部隊があるの」
「で、俺にそこにはいれと」
「うん」
親父いいいい!大阪に単身赴任中の親父いいいい!あんたの娘がおかしなことになってるよおおおお!
「ちなみに隊長はお父さん」
ああ……まさか親父にまで裏切られるとは……。
「そうか、まあ頑張りなさい。兄さんは応援してるよ」
「だから兄さんもはいるんだってば」
「嫌だ!そんな怪しげな組織死んでもはいらないぞ!」
「仕方ないなあ……。本当はこんなことしたくなかったんだけど、我慢してね」
「は?」
――――バリッ――――
――――瞬間、俺の身体は空が懐に仕込んであったスタンガンの電流に貫かれていた。
ああ、さよなら。俺の平和な日常……。
そんなことを考えながら俺の意識は深い闇に沈んでいった。