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浮くか浮かないか

作者: はまち
掲載日:2012/03/22

「やぁ、友よ。」


軽くあげた右手を、同級の長内<オサナイ>は総ムシだ。



「クールキャラはもう売れませんよぅ~人気が出るどころか引かれちゃいますよぅ~。」



右眉はいまのところ引き攣らないようです。つまんねぇ。



「お前と俺が一体いつから友人関係築いたって?」



相変わらず不機嫌みたいだけど気にせずあたしは、口元を指差した。



ふぅ、っと息を吐いたらなぜか懐かしの真っ黒いゴミ袋が膨らんだ。あたしは気に食わないから両手をいっぱい開いて叩き割る。



ぱちん。

両手の重なった音だけ残って、もう黒いゴミ袋は跡形もなく消えていた。



「見えた?」



「見事なゴミ袋だったな。」


あたしは頭をかく。

寄生虫持ってるとかじゃないのよ、まじで。



「見えてんのかぁ〜まじかぁ〜。」


とりあえず長内の両手を捕まえてブンブンと上下に振って、外交ごっこをしたら、光の速さで殴られた。


「もういっかい、見せろよ。」


長内がガラになく、欲張ってるよ。


「ふふっ。」



思わずこぼれた息みたいな笑いでハート型の風船が膨らんだ。


「なんで白?」


長内にはハートは綺麗なピンクだなんて立派な固定概念が巣くってるらしい。



「さぁ?調節とかできないしねぇ……。」



ハートの風船の口をくくる。

糸を結ぼうとしたら手からすり抜けていって、天井でふわふわと揺れている。



「お前の息、すげぇな。」



「?」



「風船ってさ、ヘリウムとか空気より軽い気体入れなきゃ浮かないんだ。お前一体なに吐いてんの?」



「酸素だぜー。」



「いや、せめて二酸化炭素だろ。」



長内の下手なツッコミを流しながら、放課後の教室にいるのは初めてかもしれないな、って息をついた。



夕焼けと同じ、橙の風船が膨らんだ。


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