転校
はぁ……一体、何度目の転校だろう…
高校1年 6月
「……ここか…」
わたしは今、楓欄高校に来ている。
いろいろ訳があり、今日からこの学校に通うことになった。
噂によると元男子校。
今は、共学になったらしいが、女子の入学率が低いため女子は少ないらしい。
まぁ、わたしには関係ないけど
校舎の中に入り、理事長室を目指し歩いていた。
「………………。」
しばらく校舎を歩いていると、周りにいる生徒がボソボソと話していたり、奇怪な目で見てくる。
……気持ち悪いな……。
だけどわたし…変な格好してきたかな…。けどな…ここの制服だしな…
見られてることに疑問を持ちながら歩いていたら、目の前に人がたくさん集まりだし進めなくなった。
「………なにこれ……。」
わたしは呆然としつつ、周りを見てみるとそのほとんどが女子だった。
「……あ、スミマセン…。これ…なんですか?」
わたしは近くにいた男子に聞いてみることにした。
「これ?」
「はい。」
チラッと人が集まってる方を見て言った。
「生徒会だよ。」
「…………はい?」
わたしは予想外の答えに思わず聞き返してしまった。
「生徒会。ここの生徒会メンバーは女子に人気なんだとよ。生徒会の奴らが歩いてると、自然と女子が集まってくるんだ。」
「…へぇ…。」
「あ、ちょうど真ん中にいる奴、あいつは生徒会長の五条匡哉。その左が副会長の西院准也。その右が書記の高倉焔。」
「ふーん……。」
生徒会長の五条 匡哉
生徒会副会長の西院 准也
生徒会書記の高倉 焔
か……関わりたくないな…
「………フッ…。」
わたしの反応を聞いてか、その男子は驚いたような表情をしていた。
「どうかしました?」
「今までの女子とは違うなっと思ってな。」
「そうですか?」
「あぁ、あんたみたいな女子は初めてだ。」
その男子は、クッと笑いながら言った。
「それは光栄ですね。」
わたしがそう言うと、その男子は爆笑した。
「……笑いすぎです…。」
「わりぃわりぃ…。」
そう言うと、フーッと深呼吸をして笑いを止めた。
「あ、そういえば、見慣れない顔だけど……転入生か?」
「はい。今日からこの学校に通います。それで……理事長室ってどこですか?」
「そっか、よろしくな。理事長室はそこを曲がってすぐだよ。」
その男子は、ニカッと笑いながら、理事長室までの行き方を教えてくれた。
「ありがとうございます。」
わたしはお礼を言い、理事長室に向かった。
その途中に生徒会メンバーとすれ違ったが特に気になかった。
それから、しばらくして理事長室を見つけた。
「………なんで理事長室ってこうも開けづらい空気なんだろう……。」
そんなことを言いながら、ノックをした。
コンコン ガチャッ
「失礼します。」
「華憐――――!!!会いたかったぞ―――!!」
「は?えっ……ぎゃぁぁ――!!」
わたしがドアを開けた途端、誰かに抱きつかれ視界が塞がった。
「元気だったか!?」
「ぐ、ぐるしいです!!」
わたしは理事長の背中をたたいて、抗議した。
「わるいわるい。ついな。」
そう言うと、理事長は腕の力を緩めて、わたしの顔をまじまじと見始めた。
「ふぅー…。お久しぶりです、叔父さん。」
そう理事長はわたしの叔父。
桜龍 徠。
わたしの亡き母…桜龍 綾華の兄で桜龍家の当主でもある。
幼いときに、両親を亡くしたわたしを引き取ってくれたが今までは、お互いに訳があり、一緒に暮らしていなかった。
「元気そうだな。」
「はい。おかげさまで。」
「そうか!本当なら、俺が会いに行くべきだが……スマン…。」
「いえ…。叔父さんが会いに来てくれたとしても…わたしが会いたくなかったと思います。」
「………そうか…。ま、元気ならなによりだ。」
叔父さんはニカッと笑い、わたしの頭を撫でてくれた。
「…………。」
この感覚……どこか…懐かしい気がする……。
「おい?どうかしたか?」
叔父はわたしの異変に気づき声をかけてくれた。
「あ……いえ……。」
「そうか…?」
「はい。」
叔父を心配させないように、わたしは軽く微笑んだ。
それからしばらく、学校の説明などいろいろなことを教えてもらった。
そんな話をしばらくしてたら…
―――――バンッ!!
突然ドアが勢いよく開いた。それもノック無しで。
「理事長!!転校生って!?」
「ウルサい!!もう少し静かに入ってこい!!」
「は、はい。スミマセン…。それで…転校生って…」
「…………?」
入って来た人と目が合う。
「華憐!?転校生はお前のことか!!久しぶりだな!!」
「………はぁ。」
……誰ですか…。
入って来た人は、長身で髪がやや薄茶。少し不良ぽいオーラがあるが…カッコイイと思う。
しかし…相手はわたしのことを知っているのに……わたしは誰かが分からない。
自分で言うのもあれだが、物覚えはいい方だと思っている。
一回見た、物、顔、ほとんどは覚えてる。
ただ…ある「時」をのぞいて…。