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発端
天使が善いとか、悪魔が悪いとか、いったい誰が決めたんだ。
天界と地界の両方を行き来することができる唯一の旅人であり、旅行記を書いている最中の金生武敏は、俺にそう言いながらその道中の話をしてくれた。
それは、天国と言われている天界と、地獄と言われている地界の旅の話だ。
そこで見てきたこと、感じたこと、食べたことや触ったことなど、俺に話し終えると本を1冊渡してきた。
日記だった。
俺は、その日記を本人から譲り渡されて、彼が再び旅に出ている間にみんなに話してほしいということをいわれた。
仕方ないので、日記という体裁は保ちつつ、概略をものすごく汚い字で書かれた日記から書きだしていきたいと思う。




