早朝の駅
掲載日:2026/09/26
眩しい早朝。
いつもより重たい荷物を抱えながら、駅の構内を一人歩く。
出発には、まだ時間があった。
行き交う人たちが、早足で交差する。
それぞれが大きなキャリーケースや旅行鞄を持っているのに、ぶつかり合うことはない。
腕を組んで歩く人でさえ、上手にすり抜けていく。
まだ眠たい体を動かし、ぶつからないように渡る。
少し奥のカフェを見つけた。
荷物を肩に掛け直し、中に入る。
まだ人の少ない店内は、ゆったりとした音楽が流れている。
重たい荷物を支えながら、メニューを選んでいく。
ドリンクサイズを、選べない。
店員は笑顔でオーダーを待っている。
後ろにも誰もいないのに。
なんとか会計を済ませ、奥の席に座る。
重たい荷物を脇に置いた。
ようやく、息をつく。
コーヒーの香りが漂っていることに、
今頃になって気づく。
ストローを口にする。
冷たさが喉を通り過ぎていく。
ガラスを隔てた構内に、さらに人が増えてきた。
掲示板を指差す人が、慌てて改札口を抜けていく。
駅のアナウンスが流れた。
時計を確認する。
ゆっくりと、息を吐く。
ストローを回す。
氷がくるくると、グラスの中を泳いでいた。




