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雪と炎が出逢う時

作者: ///Rey
掲載日:2025/09/05

山の中腹に一人で住む男性の家があった


ある雪の日の夜

男性が飯の準備をしていると家の戸口が叩かれた

「ごめんください」


戸を開けると白い着物を着た女性が立っている

女性は髪も青みがかってはいるが白に近い色で肌も白い

吹雪になれば見えなくなってしまうのではないかという姿だった


「道に迷ってしまいまして…

今晩だけ泊めていただけませんか?」


それ故に戸を開けた男性は怪訝な顔をする

雪の日だというのに女性が薄着だったからだ

こんな日に現れるのは雪女だと言われている

近くの村でも目撃されていると聞いていた男性は断ろうと口を開いたが


「お、お願いします…」


女性が震えていたのが分かった

よく見れば顔が真っ青になっている

男性は それが分かると一瞬固まり


「…入れば」


毒気を抜かれたように そう言った

女性は本当に嬉しそうな顔をし お礼を言いながら中に入る

囲炉裏を挟んで向かいに座るように言われ

悴んでいた手を摩りながら女性は囲炉裏にあたっていた

体温が戻ったのか

白かった肌の色も血色を取り戻していく

それでも男性よりは白かったが

そして振る舞われた豚汁を啜ると


「本当に助かりました…

ありがとうございます」


温かいことに感激しながら頭を下げた


「あんな寒い中そんな薄着でいれば当たり前だ

追い剥ぎにでも遭ったのか?」


男性は豚汁を啜りながら質問した

若干 呆れているように女性を見ている

女性は苦笑しながら姉に奪われたと言った


「…随分と酷いお姉さんだな

こんな雪の日に下手すりゃ死んじまうだろ」


「昔からなんです

私が気に入らないみたいで

……もう慣れました」


女性は豚汁を見つめながら遠い目をして笑う

豚汁を啜りながら男性は女性を静かに見つめた


「まぁ今日は泊めてやるから心配するな

帰ったら ちゃんとお姉さんと話し合えよ」


「……そうですね」


女性は小さく笑って煮え切らない返事をする

そんな様子に男性は目を細めた

そして豚汁を食べ終わり寝る準備を始める

囲炉裏を挟み できるだけ二人は距離をとって布団を敷いた


「あの本当に良いんですか?

布団ほとんど私が使ってしまって…」


男性は自分用に敷布と布団を一枚取っただけで

それ以外を女性に渡していた


「これで足りるから良い

俺は暑がりだから

むしろ今の季節の方が動きやすいんだ」


心配していた女性は目を丸くする

男性も足袋すら履いておらず冬にしては薄着すぎる格好だったからだ

自分よりも寒いのではと女性は思っていたが

男性は気にせず布団に潜り込み背を向けながら


「んじゃ、おやすみ」


そう言って それから喋らなかった

女性は戸惑いながらも


「…おやすみなさい」


明かりを消し布団に潜り込んだ

男性に背を向け重ねた布団を握り締める

そして強く目を閉じた



それから暫くして

雪が止み雲が流れ月が出始めた頃


ゆっくりと女性が起き上がった


振り返き男性を見つめる その瞳は

何かを狙っているかのように鋭く光っている

そして ゆっくりと男性が寝る布団に近づいた

寝ていることを確認すると


女性は手を伸ばしーー




翌朝

女性は木を斧で叩くような音で目が覚めた

目を擦りながら隣を見ると男性の姿は無い

代わりに囲炉裏には鍋が煮立っていた

慌てて鍋を一旦避け

女性は音のする外に出てみる


「お、起きたのか」


戸を開けると斧を持った男性がいた


「おはようございます

すみません

泊めさせていただいたのに起きるの遅くて」


「おはよう

別に気にすることじゃないだろ

ぐっすり寝てたから疲れてたんだろうし」


背筋を伸ばし謝った女性に

薪割りをしていたらしい男性は気にした風もなく答えた

男性は頭には鉢巻をし

襷掛けと尻はしょりをしている

しかも かなり衿元を開けている

真冬では決して見ない格好なので本当に暑がりなんだと女性は思った


「鍋に昨日の残りあるから食べてくれ

俺は食ったから」


そう言って男性は薪割りを続ける

女性は お礼を言い静かに家の中に戻った

避けておいた鍋の蓋を開け豚汁をよそう

温かいご飯に感謝するも

女性は何故か悲しそうな顔で食べていた


「ふー…っ…あっちぃ」


食べ終わり女性が片付けをしていると

男性が鉢巻を取りながら家に入ってきた

今日の分の薪割りは終わったらしい


「おかえりなさい

ご飯ごちそうさまでした」


女性が そう言うと男性は驚いたように目を丸くした

数秒の沈黙で女性は首を傾げる

男性は頭を掻きながら はぐらかす


「いや何でもない

片付けしてくれてありがとな」


すると今度は女性が固まった

男性が首を傾げ呼びかけると女性は我にかえる


「あ、いえ…とんでもないです

あの、それで お礼と言えるか分からないですけど

お昼を作ってみても良いですか?」


男性が汗を水で流している間

女性は そんな提案をした

手拭いで顔を拭きながら男性は答える


「…それは俺としては ありがたいけど

作れる品数そんなないから」


それならと普段 食べないものを訊き

女性は気合いを入れて襷掛けをする

貯めてある食材を使って良いと言い

楽しそうに料理をしている女性の姿を男性は後ろから眺めていた

そして出来上がった普段は食べない料理を頬張ると


「…ん、うまっ!」


顔には出ていないが喜んでいた


「お口に合って良かったです」


そう言いながら女性は

自分の料理を食べている男性の様子を

泣きそうになりながら嬉しそうに見ていた


「本当にお世話になりました

ご飯まで ありがとうございました」


お昼を食べた後

外に出た女性は深々と頭を下げる

自分の家に帰るようだ

男性も昼飯の お礼を言っていた


「…あ、ちょっと待て」


そこで男性が何か思い出したように家の中に戻った

女性が首を傾げながら中を覗くと

何か探しているのか

男性は押入れの中に入っている


「お、あったあった」


そう言って男性は白い物を掴んで押入れから出てきた

やる、と言って女性に渡した


「これは…襟巻、ですか?」


首を傾げながら女性が白い襟巻を広げる

男性は腕組みをしながら肯定した


「近くの村に住んでる爺さんから貰ったんだ

けど俺は使わないからな

あんたにやるよ

少しは寒くなくなるだろ」


それを聞いた女性は驚きながら お礼を言ったが

泊めさせてもらった上に貰えないと返そうとする

だが男性も それを拒否した

暫く貰えない、やるの押し問答を繰り返していたが


「あーもう、しつけぇ!

貰えるもんは貰っとけ!」


男性が痺れを切らし強引に襟巻を女性の首に巻いた


「そんなに言うなら お姉さんから上着返してもらってこい!

そしたら素直に返されてやる!」


強引に巻かれた襟巻のせいで女性は もごもごしていたが

男性の言葉に動きを止めた

そのまま暫く俯き動かない女性に

男性は息ができていないのかと思い覗き込んだが

涙目になっている女性に目を丸くする

そして目を細め溜息を吐くと


「できれば返してほしくはないけどな」


頭を掻きながら そう言った


「……っ…絶対……いえ…正式に貰いに来ます

それまで預からせてください…っ」


男性は身構えていたが女性は襟巻を握り締め

真っ直ぐに男性を見て言った

男性は目を丸くしたものの笑って了承する

女性も嬉しそうに笑った


それから女性は襟巻をしたまま帰っていった

見送った後

男性は獲って処理をした鹿の角と猪の牙と皮を持って村に向かった


「お、久しぶりだな、(ホムラ)

死んじまったかと思ってた!」


「勝手に殺すな」


「相変わらず寒そうな格好だなぁ」


村に入れば色んな人から声をかけられる

かけられる声によれば二週間ほど村に来ていなかったらしいが

焔と呼ばれた男性は適当に受け答えしながら目当ての店に入っていった

そこの店主に持ってきた皮などを売る


「はいよ、今回もありがとうね」


袋に入った金を受け取り礼を言うと焔は早々に帰ろうと背を向けた

それを店主が止める

次は肉を持ってきてほしいことを言った後


「そろそろ この村に来ないかい?」


優しく笑って そんなことを言った

焔は真顔で聞いた後


「冗談」


意地悪く笑って それだけ言って店を出ていった

一拍置いた後

店主は寂しそうな顔で溜息を吐いていた

既に夕方になっているのもあるのか

風が強くなっているのもあるのか

そんなことは気にせず

焔は村の人間と言葉を交わしながら村から離れていく

だが山に入ろうとした時

木に見覚えのある物が引っかかっているのを見つけた

それを木から取ると焔は怪訝な顔をする

それは村に来る前 自分の家から見送った


女性に渡した白い襟巻だったからだ



    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



風が強くなり日が沈み真っ暗になると

辺りは吹雪いていった

それにより視界が悪くなるが

その中を走っている女性が居た


女性は腕を抑えながら

息を切らしながら必死に走っている

瞬間その女性目掛けて


氷柱が勢い良く落ちた


女性は悲鳴をあげる

その拍子に転んでしまい

雪煙が晴れていっても立とうとしない


脚に氷柱が刺さっていた


刺さった脚は血が流れることはなく

刺さった箇所から ひびが入っていた

よく見れば腕も同じように血が出ずに欠けている

だが痛みはあるらしく女性は顔を歪めていた

すると


「逃げることだけは一丁前ね」


吹雪の中では凍死してしまうのではないかと思うような

袖丈が長く身丈の短い白い着物姿の女性が吹雪の中から現れた

馬鹿にしたように転んだ女性を見下している

女性の言葉に涙を浮かべるも


「お願い…話を」


「触らないで!」


話し合おうと ひびだらけの女性は手を伸ばした

だが氷の刃に拒絶される

咄嗟に両腕を前にしたが無数の刃を防ぐことはできず

女性は身体は さらにひびが入り割れていく

刃が落ち着いたと思えば そのまま倒れてしまった


「本当に何であんたが あたしの妹なのかしら

出来損ないのくせしてさぁ

ねぇ母さん?」


倒れた妹を気遣うこともせず

姉と思われる女性は後ろを振り向く

そこには胸元を開けた白い着物姿の女性が立っていた


「本当に…貴女は雪女として最悪ね

術の鮮度が未熟だし

男を凍らすことも出来ないなんて」


冷ややかに妹と呼ばれた女性を見つめ

手を上げたと思えば

母親と思われる女性は

頭上に大きな氷柱を作り出した


「ま、って…母、さ…」


力を振り絞り妹と呼ばれた女性は

身体を起こし懇願する

母と呼ばれた女性は目を細め


「貴女を産んだのは間違いだったわ」


そう言って氷柱を落とした

母の言葉に女性は悲しそうな顔をすると

諦めたように静かに目を閉じ

氷柱を受け入れーー




ーーる前に砕かれた


大きな音と共に その場に氷の破片が散らばる

全員が目を丸くしていると

棒を肩に担いだ男性が妹と呼ばれた女性に言った


「よぉ、よくも嘘吐いてくれたな」


吹雪の中 現れた男性

その人物の家に昨夜お邪魔していた女性は目を丸くさせたが

自分を見る男性の発言に さらに目を丸くさせた


「…え……え、あの…嘘って…」


「嘘吐いただろうが俺に

預かるとか言っときながら捨ててんじゃねぇよ」


理解が追いついていなかったが

白い襟巻を巻かれながれ言われたことで理解した

焔は怒っているらしい


「ご、ごめんなさ…っ

姉さんに飛ばされちゃって…

追いかけたんですけど…」


もごもごしながら女性が謝ると焔は動きを止める

片腕が無くなっていることに気づいたようで

静かに見ていた女性たちに視線を移した


「何あんた?

白雪(シラユキ)が凍らせられなかった男ぉ?

助けに来たの?」


「まぁ、良い男ね」


馬鹿にしたような笑顔の女性たちに焔は眉を寄せ

あからさまに不機嫌な顔になりながら立ち上がる

白雪と呼ばれた女性が俯きながら母と姉だと言った

焔は興味のなさそうな相槌を打ち目を細める


「…凍らせられる前に逃げてくださいっ

二人は…雪女なんです…!」


「何 自分は違うみたいに言ってんのよ

あたし達だけ悪者扱い?」


「そ,んな…つもりじゃ…」


「じゃあ どういうつもりなのかしら?

その男を気に入ったのでしょう

だから凍らせる為に家にまで行ったのでしょう?

男を騙して…私たちと何が違うの?

結局 凍らせられなかったみたいだけど

出来損ないだとしても貴女も所詮は同じなのよ」


「それは、母さんに…っ」


母と姉の言葉に白雪は目に涙を浮かべるが

泣かないようにしているのか

口を固く結んでいた

そんな白雪を二人は馬鹿にしたように笑っていたが


「知ってたぞ」


焔が短く そう言った

はっきり聞こえた言葉に白雪が目を丸くして焔を見た

固まる白雪に向かって再び焔は知っていたと言った


「家を訪ねてきた時から雪女なんだろうと思ってたし

夜中に凍らせようとしてたのも知ってたぞ

わざと無防備に寝てたからな」


焔の言葉に白雪は さらに目を丸くする

まさか起きていたとは思っていなかったようだ

何も言えず魚のように口を ぱくぱくさせる


「知っていて何故 家に入れたの?」


「普通の人間みたいに寒そうにしてたからな

囲炉裏にあたって生き返ったみたいな顔するし

布団も何枚も重ねて調度良いとか言うし

こんな人間みたいな奴が雪女なのかってくらいだったぞ」


続けて話されることに白雪は恥ずかしそうに顔を隠す

腕が欠けている為 半分しか隠れていないが

すると話を聞いた姉が ひっそりと笑うと焔の足を凍らせ始めた


「…あ?」


慌てた白雪は止めるように言うが姉は鼻で笑い止めようとしない

それが分かると白雪は氷で金槌を作り

凍らせられている焔の足を叩きだした

だが すぐに自分では壊せないことが分かる


「…お願い…っ

私のこと殺していいから…この人は見逃して…っ」


必死に訴える妹を見て姉は声を出して笑った


「馬鹿ねぇ、止めるわけないじゃない

あんたに情けをかけて助けてくれたのに あんたのせいで男は死ぬ

これ以上ない絶望でしょう?」


嘲笑されながら吐かれる言葉に白雪は愕然とする

必死に焔を凍らせる氷を どうにかしようと手をかざした

だが どうすることもできず真っ青な顔で焔を見つめ謝った

涙を零しながら何度も謝る白雪を見ながら焔は静かに凍っていく


「安心しなさい

あんたを壊した後で男は頂いてあげるわ」


焔を完全に凍らせると姉は白雪に近づいていった

姉は凍らせた焔を撫でながら白雪の頭上に氷柱を形成していく

白雪は姉ではなく焔を見つめ何度も何度も謝っていた

すると姉の後ろで見ていた母親が何かに気づき


「…っ、そこから離れなさい雪花(セツカ)!」


叫ばれた言葉に雪花と呼ばれた姉は首を傾げる

言っている意味が分からなかったからだ

その瞬間 凍らせていた筈の焔の目が動き


氷が溶け出していった


「暑かったから助かった」


意地悪く笑った焔を全員が目を丸くして見る

凍らせられていたにも関わらず

その氷を溶かし何食わぬ顔で居たからだ


「…っ…よ、良か、ったぁ…」


焔の笑顔を見た白雪は安心したのか

さらに泣き出してしまった

それを見た焔は息を吐くと泣き虫だなと苦笑した

すると絶句していた雪花が


「…な…何なの あんた!

何で あたしの氷を溶かせたのよ!

人間にできることじゃないわよっ⁉︎」


声を荒げ焔を指差した

その後ろで母親が訝しんだ目で見ている

焔は呆れたように息を吐き鉢巻を取りながら


「別に特別なことはしてねぇよ

俺も あんたらと似たような存在だってだけだ

雪には大敵だけどな」


言われた言葉に雪花は首を傾げる

だが母親は分かったようで眉を寄せた

生涯 合間見えることはないと思っていた

自分たちの天敵とも言える存在



「貴方…炎鬼ね?」



その台詞に合わせるかのように焔は姿を変えた

変えた瞬間 周りの雪が熱気で溶けていく

二本の角が生えた焔に白雪が

暑がりなのは そのせいだったのかと目を丸くしながら言った

焔の正体が分かった二人は後退る

手から炎を出すと焔は意地悪く笑い


「で? 俺と戦りあうか?」


敵わないことも溶けることも分かっているからか

互いに譲り合い言い争いを始めだし二人は近づこうとしない

それを白雪は呆然と見つめ焔は呆れたように見ていた

少し待ったが言い争いが終わらないことに溜息を吐くと

焔は炎を操り二人を囲む

二人は熱さと暑さで騒ぎ出し溶けだした


「これ以上 俺らに関わらないって言うんだったら止めてやるよ」


「言う! 約束する!

だから止めてぇ!」


「溶けるわ!」


二人が そう叫ぶと焔は炎を仕舞った

息切れしながら二人は自分の身体を治していく

母親が先に息が整い治し終わると白雪を睨み


「そんな出来損ない必要ないわ!

居なくなるなら清々する!」


「そうよ!

二度と あたし達の前に現れないでよね!」


続けて雪花も言った言葉に白雪は悲しそうな顔をした

だが涙は流さなかった

そう言うと分かっていたようだ

眉を寄せ焔が手から炎を出し


「こっちの台詞なんだが?

今すぐ溶かしてやろうか?」


そう言うと二人は肩を跳び上がらせ慌てて逃げていった

雪女の二人が見えなくなったことを確認すると

溜息を吐きながら焔は炎を仕舞った

座り込んだままの白雪の前に屈み彼女を背負い

慌てる白雪を余所に焔は歩き始める

この場を離れることと白雪に妖気を送り身体を治すこと

その二つを同時に行なうには これが一番の方法らしい

それを聞いた白雪は妖気が送られるのを確かに感じて

暴れるのを止め お礼を言った


「……貴方も…妖だったんですね…

だから私の正体に気づけたんですか…?」


白雪の質問に焔は短く肯定する

もし自分が姉たちのように凍らせていたら どうしたのか

危なかったのにと白雪は訊いた


「見てただろ?

俺は簡単には凍らないんだ

それに あんたは凍らせないだろうなって思ったから」


予想通りだったと焔は意地悪く笑った

白雪は見透かされていたという恥ずかしさで震える

焔は堪えられずに笑っていた

落ち着くと助けてくれたのは何故なのか白雪は訊いた


「最初は文句言うだけにしようかと思ってたんだけどな

なんか結果的に助けた感じになった

俺は人間との間に生まれた半妖ってやつ

まぁ…あんたとは似たような境遇なんで放っとけなくなった」


焔の言葉に白雪は首を傾げる

見た目が人間に近い故に仲間ではないと言われていたらしい

両親は優しかったが既に亡くなっていると焔は続けた


「扱いが さらに雑になったんで集落から離れたんだ

だけど人間の村に入るわけにもいかない

だから あそこに住んでる」


そうだったのかと白雪は目を伏せる

白雪は何も気の利いたことが言えないと黙ってしまった

そんな白雪を背中越しに見ると

悪いことでもなかったと焔は小さく笑う



「お蔭で あんたに会えたからな」



それを聞いて白雪は目を丸くした後

目に涙を溜め嬉しそうに微笑む

見た目が人間に近い半妖である焔

雪女よりも人間と言った方が しっくりくる白雪



「…私も会えて良かったです…」

正反対だけど同じ二人

出会う為なら今までの日常は必要だったのかも

白雪は そう思いながら焔の肩に顔を埋めた

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