何やってんのヒロイン
さてこの学園は他学校の編入と留学生の途中受け入れはあるものの、それ以外は認められていない。
病気療養や貴族の庶子で学力があっても、途中入学は出来ないので次年度の入学となる。ただし王族や高位貴族に限って例外は認められるが、男爵ではそれも叶えられる事はない。
という訳でヒロインが入学と同時に始まる乙女ゲームは、始まる気配はない。
攻略対象者も普通に過ごしているし、モブっぽい生徒がヒロインの代わりに攻略するぜグヘヘという事もない、いたって平和な学園生活だ。
「平和ですね~」
「平和だな」
ヒロインが入学していないと分かり、もう食堂には用はないと王族専用のサロンで食事を取りお茶をするマユリカと王子。
食堂では思った以上に男子生徒がマユリカを見ていた為心の中でイライラしていたが、今は2人きり(侍従やメイドはいるが)でマユリカを独り占め出来ている事に、王子はご満悦である。
平和を享受して1年、また入学の時期がやってきてマユリカは順当に3年生に上がった。
今年こそヒロインが入学し乙女ゲームが始まるのだろうが、ここで1つ問題が。攻略対象者が1人卒業してしまったのだ。
去年始まっていれば攻略対象の1人、3年生だった公爵子息も攻略出来ただろうが、卒業して領地に引っ込んでしまったのでどうやっても姿すら見かける事は出来ない。
この時点で逆ハーレムルートは閉ざされているので、どう行動するのかマユリカは物凄く気になっていた。
「そういえば去年話していた令嬢、また入学出来なかったようだよ」
「はあ!?」
何やってんのヒロイン!1年間無駄に過ごしてたんか!?1年あったら最低ラインは超えるだろうが!こら王子、ほっぺつんつんはやめなさい。
「えっと、敗因は?」
「試験はギリギリだったらしいんだけどね?試験が終わってから試験官にベタベタして「あなた素敵ね。私が付き合ってあげるわ!」って令嬢にあるまじき行動をして落とされたらしいよ」
何やってんのヒロイン!(2回目)脳内の花畑に毒花しか咲いてないんじゃね?これもう入学出来ないで乙女ゲームは終わるのでは?
「では今年も平和な1年になりそうですわね?」
「そうだね(にっこり)」
胡散臭い笑顔を向ける王子に思う所はあるが、面倒さを感じスルーする事にしたマユリカ。今年も平和に過ごせそうだが、乙女ゲームが始まらないのには少々がっかり感が否めない。
それでも何もない事は良い事だとのんきに過ごすマユリカだった。




