ジン・バンダーテ
男は新たな世界で【ジン・バンダーテ】と名を貰ってこの地に生命を宿した。
ジンの生まれた場所はいわゆる田舎で、何も無かったがジン自身は優しい両親からの愛情もあってのびのびと育っていった。
やがて月日は流れて5年が経ち、ジンは5歳になった。
この世界には【魔法】が存在しており、この世界の人間の大半は魔法を有している。
「ふん!」
ジンも早速魔法を放った。
放ったのは炎の魔法で、威力は並ほどだが、それでもジンは十分驚いていた。
こんな世界に生まれて魔法まで使えるようになったジンは心が躍っていた。
続いて水の魔法や雷の魔法、あらゆる属性の魔法も放ってみた所、すべての魔法が使える事を知り満足気になった。
しかし、彼は気になっていたことがあった。
それはこの世界に転生する前に神様の言っていた「新たな人生で別の物を混ぜ混ぜしませんか?」という言葉だった。
生前バーテンダーだった彼からしたら"混ぜ混ぜ"という言葉はバーテンダーに関係している事かもしれないと悟ったが、それが具体的には何なのかはまだ分かんないままだった。
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ジンは気晴らしとして近くの森まで散歩に来ていた。
「家の近くにこんな豊かな自然があったなんて・・・」
田舎なだけに自然が周りにあった為、自然を満喫するのをジンは楽しく感じていた。
辺りを見渡すと、元いた世界で見たのと同じ、あるいは似ている動物や草木・花が存在していてそれが面白く感じてもいた。
匂いを嗅いでみるとそれこそまさに自然と感じる草木などの植物の匂いがしていた。
そんな時だった。
「放して!」
「ん?なんだ!?」
突然、女の子の叫ぶ声が聞こえた。
ジンは声の方向へ向かって走っていくと、女の子がガラの悪そうな男に連れていかれそうな場に遭遇したのだった。