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とある女

作者: 紫桜輝夜

初投稿です。暖かい目で見守ってくださると喜びます。

「5000万ゴールド!5000万ゴールドで落札です!」


舞台の端に経つ男が木槌を強く3回程打つ。

どうやら私は5000万ゴールドで金持ちに買われたようだ。買われたということは、買った者の持ち物になったということ。持ち物に自由はない。私の自由もこれから奪われるだろう。

私の命の価値は5000万ゴールド。人によっては万もいかない。売れ残ることだってある。そう考えれば良い方なのかもしれない。自由と比べれば安すぎると思うが。


男は私を家に迎えてから、私をずっと傍に置いていた。ただそばに置くだけだった。

私を脱がすことも、殴ることもなかった。

私は安心した。

確かに自由は奪われてしまったが、何もされないということは、今の私にとって何よりも幸せだった。

少し、男を信用した。


だが、何年か経ったある日。男は新しい女を連れてきた。男は私を隅に追いやり、新しい女を傍に置いた。

私は悔しかった。何年も男の傍に居たのは私なのに。

女は私に向かって笑って囁いた。


「ごめんね〜」


その時。私の中で何かが切れた。



──私は生臭い場所にいた。何も考えずただ真っ直ぐ歩いている。私の後ろには真っ赤な足跡ができていた。


「貴方は外で何をしてきたのですか?」


突然後ろから声が聞こえ、振り向くと、そこには私よりも小さい動物がいた。ボロボロで汚らしいが見た目からして犬だろうか。何に脅えているのか震えている。私は口を開く気力もなくただ犬を見た。


「ま、まさか、あなたは誰かを殺してしまったのですか?」


震えて涙目になりながら私に問いかける。その問いに私は笑みを浮かべた。


「まさか。私は、人形ですよ?」


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