第1回選択希望選手
「第1回選択希望選手!……、ホリセ コウイチ、 勇者、 上野アニメーション学院!」
え?俺?、ドラフト指名されたの?。勇者!…って何のこと?。
付けっぱなしのテレビには、俺の名前がある。
『ピンポーン!』
ドアの向こうに恰幅のいいオジサンが立っていた。
「ホリセ=コウイチさま、ですね」
「ノニーエ国、神殿本部第一編成局、司祭長のグレゴリウスと申します」
「この度、異世界ドラフトにおいて1位指名させていただきました」
「召喚権を獲得しましたので、ご同行いただきます」
「異世界ドラフトは完全ウェーバーですので、指名と同時に召喚権が確定します」
「我が国でメディカルチェックを受けていただき、契約となります」
訳が分からないまま俺は、召喚された。後には付けっぱなしのテレビが……。
「今回の異世界ドラフトでは、勇者16名、聖女9名、大賢者8名、悪役令嬢33名、ヒロイン21名、魔王9名、その他……」
「近年の傾向としては、スライムが7名、蜘蛛が2名、勇者の母4名と……」
◇◆◇◆◇
ノニーエ国に連れ去られた俺は、しかし、元の世界に戻された。
メディカルチェックをパスできなかったのだ。
未治療の虫歯と、それから、包茎が、引っかかった。
治療が終わったら、召喚されるそうだ。
今の俺は、
仮性勇者 、だ……。
(割腹 → 恰幅 に修正。ホラーではありません。)