表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
1 はじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/201

第6話 画集

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


 店内には客はおらず、美夜は静かに店内を歩いた。木板の床にあたる靴の音が、静かに響く。


 美夜は、すぐにあることに気がついた。

 本屋内に置かれた商品は、日本の書籍ではなく、海外の写真集ばかりが置かれている。建築物やガーデニング、フード関係、インテリアといった書籍が、所狭しと置かれている。

 店内はさほど大きいわけではなかったが、中二階があり、階段を上ると、そこには画集が置かれていた。

 食い入るように、ゆっくり目を移動させ、書籍を見て歩く。

 ふと、ある一つのタイトルに目を留めた。

 海外の本ばかりの中に、一冊だけ日本語のタイトルがあった。

 そっと手を伸ばすと、画集を手に取り開く。本独特の、古くなった紙の匂いが鼻を掠める。

 美夜の手は、微かに震えた。

 子どもの頃、ある本の表紙でみた絵。両親に連れられて行った美術館で、美月と一緒に彼女の絵に引き込まれた。画集を欲しがったが、子供には高すぎると言って、買ってはもらえなかった。どうせ、すぐにぼろぼろにするだろう、と。それから、大人になった今でも、彼女の画集を探していた。色々画集はあるものの、美夜と美月の心を捕らえ、離さなかった絵が、どれにも載っていなかった。あの絵は、幻だったのだろうか、勝手に作り出した思い出なのか、と思って諦めていた。しかし、その絵が、今、手にしている画集に載っていた。


「夢じゃ、なかったんだ……」


 画集をそっと閉じると、金額を見た。「VINTAGE」と書かれた値札に、「¥17,000」と印が押されている。

 現在、無職の身としては、かなり痛手の金額ではあったが、今を逃すと、きっと一生出会えない、と思い、買うことにした。きっと美月も喜んでくれる。そう思うと、この本に出会えた嬉しさが倍増し、高額である事への後ろめたさを掻き消す。

 美夜は本を抱え階段を下り、レジへ向かった。レジには店員が居ないため、店内を見回したが、美夜以外、誰も居ない。美夜はレジを振り返り、カウンターの上を見た。カウンターの上には、ベルが置かれていた。ベル脇に「ご用の方、ベルを鳴らして下さい 店主」と書かれた札が、カウンターに貼られていた。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


続きが気になる!という方は是非ブックマークや☆、評価、感想など今後の励みになりますので、残してもらえると喜びます!よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 長い昔に買えなかったものが今買えるようになったりすると、なんとも言えない運命を感じますよね。その運命に巡り会えたのならば、買えてよかったと思います…!そして店員さんがどんな方か、とても気にな…
2022/09/09 20:31 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ