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第2話 職探し

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

ひたすら、ありふれた日常の風景……。


 リビングに入ると、美月がインターネットで職探しをしていた。


「何か良い仕事、ありそう?」


 美夜はキッチンへ行き手を洗い、冷蔵庫からトマトとキュウリ、卵とハムを取り出しす。


「一件、ここの近くで良さそうなのがあった。十時になったら電話してみる」


 対面式キッチンのため、容易に美月の声が届く。

 美夜は「そう」と応えながら、やかんに水を入れ火にかける。食パンを二枚オーブンに入れ、タイマーを回す。その動作は、まだこの部屋に暮らし始めて四日目とは思えないほどスムーズで、まるでダンスでもするかの様に軽やかだ。

 フライパンに火をかけ、少量の油を引く。ハムを二枚、その上に卵を二個割り入れると、水を少量入れ、蓋をする。次に、キュウリを板ずりした後、斜めに薄切りにする。半分ほど切り終わると、薄切りにした物を今度は千切りにしていった。規則正しい、リズムを刻むような音がキッチンとリビングに響く。半分余ったキュウリをラップに包むと、それを冷蔵庫に仕舞い、今度はレタスを取り出し、数枚ちぎり再び冷蔵庫へ。レタスの葉を軽く水洗いし水切りした後、手で一口大にちぎりキュウリとミニトマトと共に皿に盛りつける。次はヨーグルトを二個を冷蔵庫から取り出しテーブルへ。

 パンが香ばしい色に焼け、その上にマーガリンを素早く塗る。フライパンの中の卵を見て黄身が半熟なのを確認すると火を止め、ハム付きの目玉焼きをパンの上にのせた。

 用意が出来た物をテーブルの上に運ぶと、お湯の沸ける音が聞こえた。

 美夜はキッチンへ戻り、食器棚から二人がお気に入りのマグカップを取り出しティーパックを入れる。やかんの湯を注ぎ込むと、紅茶の香りが湯気と共に舞い上がり、ふわりと美夜の周りを漂う。

 カップを持ってテーブルに運び「できたよ」と美月に声をかけると、美月は「ん」と返事をし、すぐに席に着いた。


「いただきます」 

 手を合わせた美月は、早速パンの上にサラダをのせ、マヨネーズをかけ、大きな口を開けてそれを頬ばった。


「どんな仕事なの?」


 美夜は、自分用に取り分けたサラダに軽く塩を振りかける。

 美月は口に入ったパンを飲み込むと「フィットネスクラブのインストラクター」と答えた。


「向こうでも似たようなことやってたし、性に合ってるしさ。それに、やっぱ都会だよ。時給が良いんだ。運動も出来て、お金ももらえる。一石二鳥」


 美夜は笑いながら「運動、好きだもんね。美月は」と応えた。


「美夜はどうすんの?ネットでどこか探す?」


 美月は口に付いたマヨネーズをティッシュで拭うと、美夜に訊ねた。


「向こうに居るとき、何件か目星い所探してあるから、そこに一度行ってみようかと思うの。どんな店か知らないで面接するより、どんな所で、どんなお菓子を販売しているのか、その場でちゃんと作っているのかとか、色々知りたいし」

 

 菓子を作る。それは、美夜の子供の頃からの夢であり、そのために東京まで出て来た。妥協はしたくない。自分の目で、舌で確かめて、納得いく店で働きたい。そう思っていた。

 美月は美夜の考えに「そうだね」と答えると「良いところ、見つかると良いね」と言い、再び食事に戻った。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] 現実主義的な部分もある美月と、ちょっと理想主義的なところのある美夜の対比がいい感じです!個人的な話にはなりますが、僕も引っ越しをするかもしれないので、二人の生活の余裕に少し安心感を覚えます。…
2022/09/06 22:03 退会済み
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