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【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
1 はじまり

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12/201

第11話 常連客

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


 美夜が店内の音楽と画集に集中していると、ドアに付いた呼び鈴が店内に鳴り響き、一人の中年の男が大きな声を出して入ってきた。


「ハルちゃん、まだ大丈夫かい?いつもの、まだあったらお願いできる?」


「いらっしゃい、タケさん。大丈夫ですよ。まだあります。ちょっと待ってて下さい」


 ギャルソンはにこやかに言うと、タケさんと呼ばれた中年男は、さっと店内を見渡し、美夜に目をとめた。


「珍しいな、この時間にお客さんとは」


 そういうと、タケさんはカウンターの席に座った。


「失礼なこと言わないでくださいよ。まるでお客が来ない店みたいじゃないですか」


 ギャルソンは苦笑しながら言った。


「タケさんこそ、今日は遅いおでましで……」


 ギャルソンはタケさんと談笑しながら、美夜の注文の用意をした。

 美夜は聞いていない振りをしながら、黙って画集に目を向けて集中する。すると、頭上に「失礼します」と心地のよい声が降ってきた。美夜は慌てて画集を袋に仕舞うと、ギャルソンは滑らかな動きでテーブルの上に紅茶のポットとカップを静かに置き、ケーキを乗せたプレートを置いた。


「うわぁ、可愛い……」


 チーズケーキが乗ったプレートは、綺麗に盛りつけをされてる。ケーキの周りを薄いピンク色のソースが点々と囲み、フランボワーズとブルーベリーが、バランス良く散らばっていた。プレートの脇には、グラスに入ったシャーベットが添えられており、白いシャーベットには、カラメルで作られた葉の形をした菓子が飾られている。

 ギャルソンは小声で「本日はサービスです」と言った。美夜は驚いて顔を上げ、ギャルソンを見ると、彼はおどけた顔をして見せた。


「なんだ、お嬢さん、チーズケーキ選んだのかい」


 タケさんはカウンターの椅子を回転させ、美夜に向かって声をかけた。

 人の良さそうな笑顔を向けて、嬉しそうに話を続ける。


「ここのは旨いぞお。ここの食ったら、他のは食えなくなるぞ」


 ギャルソンは笑いながらタケさんを振り返る。


「タケさん、うちの大事なお客様にちょっかい出さないでよ」


 そう言うと、すぐに美夜に顔を向け「すみません。悪い人では無いんですよ」と言い、カウンターへ戻っていった。

 ギャルソンがタケさんにコーヒーとチーズケーキを出すと、タケさんは黙って食べるのに集中した。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] サービスとはいえシャーベットまで…ケーキにソースを垂らしてくれるお店はいいお店だと、僕の心がピピピと反応します!
2022/09/16 06:51 退会済み
管理
[良い点] 本と美味しいケーキに美味しいお茶。 最高の店ですね。 私がたまに行くカフェもこんな感じの店なんですよ。 そこのチーズケーキも絶品で。 なので、既視感にとらわれながら楽しませていただきまし…
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