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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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99/185

99.バジリスク(3)

 ゴブリンの集落の殲滅が無事に終わって数日後、シガンは第十一階層のマッピングを始めようと決めた。

 最近の探索では数日の野営が基本だ。


 シガンはアデルに数日留守にすることを伝えて、パーティメンバーとともにダンジョンに入った。


 最近はミノタウロスを倒して第五階層で狩りをする骨のある冒険者パーティもいるらしい。

 さらにボス部屋のアイアンゴーレムを鈍器を満載して倒して鉄を売却するパーティもあるということだった。


 しかし第六階層ともなると、途端に人がいなくなる。


 第六階層は自然フィールドで草原と森だが、有能な斥候がいなければサーベルタイガーなどの奇襲を受けるし、何よりサーベルタイガーなどの獣と人型の魔族とでは戦い方が異なる。

 シガンたちのパーティ以外で第六階層を突破したパーティはいないようだ。


 第十階層のボス部屋には、当然のことながらバジリスクが復活している。

 今回も前回と同じ方法で倒そう、とベルたちが主張したが、シガンが却下した。


「今回は俺ひとりにやらせてくれ」


「え? ですがシガン様、何かバジリスク退治の手段を思いつかれたのですか?」


「ああ。まあ見ていれば分かる。皆は扉の影に隠れていてくれ」


「シガン様がそう言うのでしたら……」


 皆が扉の影に隠れると、シガンは両開きの扉を開けながら両目を閉じた。

 すると超音波知覚が冴え渡る。


 シガンは両開きの扉が開ききる前に中に入り、バジリスクに斬りかかった。

 バジリスクは爪で攻撃してきたが、大して速くもない攻撃だ、シガンにあっさりと回避され、首を一刀で落とされた。


「「「…………」」」


 シガンが魔物を取り込んだことを知らない妻と恋人たちはそろって絶句した。

 目を閉じてバジリスクを圧倒するとは思わなかったからだ。


「凄いですシガン様!」

「シガンさま、かっこいい!」

「いつの間にそんなに腕を上げたのシガン?」


「……うまくいったな。いやあ、なんとかなるもんだ」


 バジリスクから魔石と魔眼を回収する。

 前回は魔法などで顔面を損壊したため回収できなかった魔眼だが、これは付与魔術の触媒になる貴重な換金部位だった。

 もちろんアデルという付与魔術師が自邸にいるわけだから、売らずに活用するつもりだ。


 そして回収が終わると、シガンたちは第十一階層への階段を降りていくのだった。


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