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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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78/185

78.ハルピュイア(3)

 飛来するハルピュイアを迎撃する。

 ガールが超音波から開放されたので単分子シートによる迎撃が開始され、ハルピュイアをなますと切り刻んだ。


 シガンもさすがの数に辟易すると同時に、影の槍では間に合わなくなったため刀による迎撃に切り替えた。

 間合いが短くなる代わりに、体内で魔力を回すことで縦横無尽に駆け回りハルピュイアを斬り殺していく。

 ターニアの〈ブレス〉の効果もあってか、八面六臂の大活躍となった。


 アティも〈ブレス〉と〈フィジカルブースト〉の重ねがけで弓を連射する。

 矢が当たったハルピュイアは、その部分がえぐれるようにして死んでいった。


 ベルは〈ブリザード〉を連打して周辺を樹氷の森に変えていた。

 範囲魔法ゆえに大量のハルピュイアを一撃で倒せるため、効率は良かったのだがいかんせん、魔力の方がもたなかった。

 ベルは魔力切れで動けなくなってしまったのだ。


 ベルの戦闘不能で撤退が不可能になった。

 というかハルピュイアの群れはシガンたちを街に帰すつもりはなく、ここで仕留める気でるようだ。


「アティ、指揮個体を探してくれ。こいつら、集団で統率が取れすぎている!」


「わかった。…………シガンさま、あれがそうだと思う!」


 アティが指差したのは一匹だけ木にぶら下がっているひときわ大きな個体だ。

 ガールがシガンに言われる前に単分子シートを伸ばし、首をはねた。


 するとハルピュイアたちの統率が乱れ、山の奥の方へ逃げる個体が出始めた。


 襲撃してくる個体が減ったことで、迎撃はなんとか持ち直して耐えきった。

 1時間ほどの激しい戦いだった。



 幸いなことにけが人はいなかった。

 もしダンジョンの第五階層で入手した魔導書がなければ、今頃は全滅していたかもしれない。


 いや、その前にシガンが言霊を使っていればなんとでもなるのだが、新しく手に入れた影の操作能力と魔力を体内で回す技術を試したくてギリギリまで温存していたのだ。


 しかしさすがにこの百を超えるハルピュイアを解体して魔石を取り出す元気までは、誰にもなかった。


「《俺はハルピュイアの魔石を回収した》」


 ウェストポーチのマジックバッグに大量の魔石が入ったのだろう。

 ハルピュイアたちの心臓に穴があいた。


「そうだ、指揮個体の方は換金部位はありそうか?」


「多分、羽根が高値で売れると思います。見た目、七色に輝いていますよね?」


「そうか。それじゃそれだけ回収するか」


 シガンは影を手のように操り、指揮個体――ハルピュイア・リーダーを手元に持ってきた。

 そして翼を刀で斬り裂き、ベルのリュックサックのマジックバッグに入れた。


「結局、集落を探す依頼じゃなくて集落を壊滅させちまったなあ……」


 ぼんやりと言ったシガンの言葉に、みなは俯いた。


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