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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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68/185

68.言霊(3)

 シガンは言霊について概要だけ話した。


 つまり、『魔力を込めた言葉を発すると、その通りになる』、ということをだ。


 あまりに非常識すぎて皆は唖然としていた。


「マスター。それは波動関数の収束……事象を自在に収斂させているという理解でよろしいでしょうか」


「さすがガールだな。その理解で合っている」


「え、ちょっと意味が分からない。シガン様、それはどんなことができるんですか?」ベルは困惑しながら問うた。


「そうだな……俺はいつも魔石を取り出したり解体するのが面倒だから、言霊を使っている。感知能力の高いアティがいつも違和感を感じていたのはそのせいだ」


「えー。じゃあシガンさまは実際には呪文を口に出しただけで、解体はしていなかったの?」


「ああ。言霊を紡いだら、後は結果だけが得られるからな」


「シガン、もしかして私が〈シャイン・セイバー〉でオークキングを攻撃したときにも、何かしたんじゃないの?」ターニアも問うた。


「そうだ。言霊で支援した」


「あ、もしかして私がゴブリンの掃討をしたとき、やたら命中していたのも……?!」ベルも問うた。


「その通りだ」


 ベルは「あの時、やたら調子が良かったのはシガン様のおかげだったんですね……」と感動していた。


 ガールだけは静かに、瞑目している。

 恐らく記憶(ログ)から俺が言霊を使っている場面を探しているのだろう。


 解体のときは基本的に使っているが、今回は俺にアイアンゴーレムから魔石を抜き取る手段がないことから、感知能力の高いふたりには刀で抉り出したようには見えなかったようだ。

 普段ならば違和感が残るものの、刀で解体している俺を言霊は見せている。


 無理やりな現象を現実にした場合、そこに乖離が大きいほど察知されるリスクが高まるようだ。


 ガールは目を開き、「過去のログを確認しましたが、明確に言霊を使用している場面はほとんど観測できていませんでした。ただアティ様の言う通り、解体の場面には不自然なログが挿入されておりましたので、恐らくはそこで言霊が使用されたのだと判断できます」


 ……凄いな、過去に遡って言霊を使用した場面を探し出せるのか、ガールは。


「今後は事象の収束に注意を払えば、私に関して言えば言霊を感知することも不可能ではありません。ただし私に言霊を使用されない限り、ですが」


「そこは信用してくれ。俺は人の気持ちを言霊で変えたりしたことはないし、戦闘以外で行動を変えさせたこともない」


「……私はマスターを信用します」


「もう、わけが分からないよ……地上に戻ったら、また改めて教えてねガールちゃん」ベルが言った。


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