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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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52/185

52.ミノタウロス(3)

「〈ストーン・ブラスト〉!!」


 ベルの魔術が開幕の合図となった。

 石礫が巨体を襲う。

 同時にアティが放った矢がミノタウロスの右目を狙った。


「ガアアアアアアアッッッ!!!」


 雑に振るわれた戦斧が魔法を叩き落とす。

 矢はわずかに頬に傷をつくっただけだった。


 ガールが行こうとするが、それを手で制してシガンは言った。


「あれは久々の強敵だ。俺にやらせてくれないか?」


「しかしマスター。あれは難敵かと思われますが」


「だからこそだ。ちょうといい具合だろう?」


「なるほど、死闘をお望みなのですね。了解しました。危険になるまでマスターの戦いを邪魔しません」


「よし良い子だ」


 シガンが行った。

 居合いの初撃。


 音もなく血しぶきが舞う。

 同時にガクリとミノタウロスの身体が傾いた。

 シガンの初撃はミノタウロスの右膝を割っていた。


「ガアアアアアッ!!」


 戦斧が振るわれる。

 背後でガールが緊張しているのが伝わってくるが、シガンはそれを無視して戦斧の回避に専念する。


「《ミノタウロスの攻撃は誰にも当たらない》」


 言霊をかけて安全を確保する。

 自分のではない。

 後ろに残してきた仲間たちのためだ。


「〈ウォーター・スピア〉!」

「シガンさまっ」


 ベルが水の槍を放ち、アティが矢を射掛けた。

 ミノタウロスは戦斧でそれらを打ち払い、――シガンを見失った。


「鬼さんこちら」


 背後から聞こえた声に、ミノタウロスは戦慄した。

 その感覚は正しい。

 シガンの一閃が腰を割った。


「ガッッッ!!」


 左腕の肘打ちが来るが、シガンはもう背後にはいない。

 逆側をついて脇腹を斬り裂きながら正面に回る。


「へ。5年もかかった鬼にくらべればなんてことはないな。ちょっと過大評価だったみたいだ」


 言いながらシガンはミノタウロスの首を狙う。

 しかしミノタウロスも伊達に迷宮の守護者と呼ばれてはいない。


 戦斧で首を守り、――戦斧ごと首を切断された。


 チン、という音とともにシガンは納刀する。

 ミノタウロスの首から血が吹き出た。


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