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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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45/185

45.ダンジョン(4)

 ダンジョンの第二階層のマッピングは順調だった。

 罠はアティが発見し、アティとターニアが罠の鑑定をする。

 そしてアティが罠の解除をするという手順で無力化していた。


 魔物は主にシガンが相手をした。

 というのも、まだこの階層にシガンを手こずらせるような相手はいないので、ベルたちの支援は必要なかったからだ。


 宝箱は一定の期間で復活するのか、第二階層でも幾つかの宝箱を開けることが出来た。

 もちろん事前にアティとターニアで罠の有無を警戒して開けるのだが、第二階層程度では大した罠はない。

 小さな宝石や銀貨が入った宝箱は、第一階層よりも儲かることを示していた。


 第三階層への階段を途中で発見したが、あくまで今日は第二階層のマッピングに専念すると決めている。

 マップを埋めていくと、不自然な空白地帯があることにシガンたちは気づいた。


 ……隠し扉でもあるのか?


 シガンは空白地帯の周辺をくまなく探した結果、アティが隠し扉を発見した。

 扉を開けると、今までの石造りのダンジョンとは雰囲気の違うリノリウムの床が現れた。

 部屋の中にはまず巨大な棺が目に留まる。

 棺からはケーブルが伸びており、幾つかの箱型の装置に繋がっていた。


「これは……古代文明の遺産だわ。こんな完全な形で見るのは初めて」ターニアが興奮気味に言った。


「古代文明? それはどういう文明だ?」


「ええと、魔物に滅ぼされてしまったものの、今より高度な文化文明を誇った人間の時代があったと、歴史書に記されているの。実際にそのような遺跡も存在するのだけど、ここは密閉されていたのか完全な状態ね。施設が稼働しているようだし」


 机や本棚には資料がたくさんならんでいる。


 その幾つかをシガンは手に取り、読み始める。


「シガン、まさかそれが読めるの!?」


「え、これ普通に読めるけど……みんなは読めないのか?」


 ターニアは「古代文明の文字は研究されているものの、解明されていない部分が多いのよ!」と説明した。


 シガンはそういえばこの世界ではすべて日本語に変換されていることを思い出した。

 ●が何かしたのか、それとも言霊のチカラなのか。


 なんとなく前者な気がしたが、確証は得られない。


 資料を読み進めると、棺の中身が分かった。

 少女型の人造人間が保管されているようだった。

 人造人間は魔物との戦闘のために研究されていたようだが、量産する前に文明が滅ぼされてしまったようだ。

 その遺跡の一部がこのダンジョンに取り込まれて、今に至るらしい。

 資料の最後の方は、ダンジョンに閉じ込められた研究者が餓死した手記になっていた。


 部屋を探すが、死体は見当たらない。

 それもそのはず、死体はダンジョンが喰らうから、残ることはないのだとターニアに教わった。


 とにかく人造人間の少女を目覚めさせるため、マニュアルを本棚から取り出すと、シガンは装置の解除に専念し始めた。


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