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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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31/185

31.オーク殲滅作戦(2)

 シガンたちは木々の間に立つ、7体のオークを見た。

 明らかに普通のオークとは異なる気配に、シガンも鳥肌が立った。


 中でも他の6体よりも上位にいると思しき1体は、――名をオークキングという統率種の中では最高峰の強敵だった。


「グルルルル、ガアガア」


 オークキングが命じると、6体のオークリーダーたちが一斉にシガンたちに襲いかかってきた。


「《オークは全て死ぬ》」


 突然、ガクリ、とオークリーダーたちが膝をつく。


 ――チ。言霊で即死とはいかないのか。


 恐らくは並行宇宙の中で、彼らの死は希少なのだろう。

 高い確率で生きているからこそ、死を表に引き出しきれなかった。

 それでもダメージにはなったようで、それぞれのオークはそこかしこに傷を負っていた。


 オークキングも例外ではない。

 突然、シガンが何事か呟いたと思ったら手傷を負っていたのだ。

 そのあまりの理不尽さにオークキングは恐怖した。


「グガガガガ、ガルガルガル!!!!」


 オークキングはシガンを指差した。

 すると一斉にオークリーダーたちがシガンに殺到する。


 シガンは居合いで迎え撃つが、さすがに6体は多すぎる。


「《オークの攻撃は当たらない》」


 オークたちの棍棒の一撃を回避しながら、シガンはオークリーダーたちを斬り伏せていく。

 もちろんベルとアティも魔術と矢による援護を欠かさない。


「《ベルとアティの攻撃はオークを皆殺しにする》」


 突然、ベルの〈ストーン・ハンマー〉がオークリーダーの眼窩に突き刺さった。

 またアティの矢もオークリーダーのこめかみを貫き、殺した。


 ――よし、行ける!


 シガンが3体目のオークリーダーを殺したところで、オークキングが雄叫びを上げながら突っ込んできた。

 このままでは数の有利さえなくなると危機感を覚えたのだろう。


 シガンは迷った。

 オークリーダー3体をベルとアティに任せるには荷が重い。

 言霊の支援があるとはいえ、接近されて棍棒で殴られたら死ぬのだ。

 かと言って、オークキングを交えて戦えるほどシガンは強くはない。


 そのとき、光の剣がオークキングの行く手を阻んだ。


 女の魔術師だった。

 シガンは冒険者がこっちに援軍を送ってきたのかと思ったが、女の顔を見て違うと悟った。

 凄まじい形相だった。

 復讐、それだけを考えて女は〈シャイン・セイバー〉を撃っているように見えた。


「《シャインセイバーという魔術はオークに効果てきめん》」


 果たして言霊の援護は必要だっただろうか。

 複数飛来する光の剣を、オークキングはさばき損ねた。

 光の剣がグサグサと突き刺さる。


 その隙きをついて、シガンたちはオークリーダーを倒した。


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