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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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28/185

28.巨大野菜(2)

 翌日、評判の巨大野菜は全て領主が買い上げた。

 そしてシガンに領主館に来るようにとの命令が出された。


 シガンは内心で随分と早かったな、と思った。

 商売、第2フェーズの後半、開始である。


「こちらでお待ち下さい」


 執事が応接間に通してくれた。

 メイドの入れるお茶は紅茶だろうか。

 レモンのような柑橘の輪切りと砂糖が添えられている。


 久々の紅茶にシガンは大喜びで飲み干した。


 やがて執事が領主を連れてきた。

 領主はアドリアンロット伯爵である。


「巨大野菜は早速、領主館の料理人たちで料理をさせている。しばし待っていれば出てくることだろう。その前に話をしておこうか」


「はい」


「あの巨大野菜、スカジャンのシガンの屋敷でしか採れないというのは本当か?」


「いいえ、実はまだ種子が多くないので、実験もできない状況です。俺の読みではウチの敷地以外でも育つと思っていますよ」


「なるほど。それはすばらしい」


「領主様は、巨大野菜をアドリアンロットの名産品にしたいとお考えですか?」


「ふむ……」


「俺は名産品になると思って、目立つように売りました」


「まあそう急くな。料理ができたそうだ。朝食にしよう」


 朝食はもちろん、シガンが持ち込んだ巨大野菜を使ったものだった。


 スープをすすった伯爵は目を見開き、一気に飲み干した。


「すばらしい旨味だ……なんと甘い野菜たちだろう」


「急ぐ必要はありませんが、巨大野菜の独占販売をするなら急いだほうがいいですよ。商人たちもきっと遅かれ早かれ、大金を積んでくるでしょうから」


「確かに。これは少々、侮っていた」


「商談、成立ですかね?」


「この領地の名産品にしよう。種子はどの程度、用意できる?」


「急いで用意しますが……まずは畑よっつ分くらいですかね」


「分かった。そこから増やしていけばいいのだな?」


「はい。こちらも種子を取る目的で栽培を続けます。種を買い取ってください」


「もちろんだ。他のどこにも卸すことを禁ずる」


「おおせのままに」


 シガンは商売の第2フェーズ後半を成功させた。


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