24.幽霊屋敷(2)
屋敷はアドリアンロットの中心部にあった。
広々とした庭に、似つかわしくない鉄条網の柵。
看板には『立入禁止』の文字があった。
シガンたちは正門から堂々と入る。
鍵は依頼を受注したときに合鍵を貰っていた。
きっと屋敷内にはたくさんの合鍵が眠っていることだろう。
「シガンさま、なんだかすごく嫌な気配がたくさんいます」アティが言った。
「そうかそうか。楽しそうでいいじゃないか」
「よ、よくないですよ!?」ベルが叫ぶ。
まずはエントランスだ。
ホコリだらけで、蜘蛛の巣があちこちにある。
「こりゃ掃除が大変そうだなあ」
「シガン様、もう手に入れた気でいますね?」
「当たり前だろ」
「シガンさま、何かくるよ!」
ガタガタと足音を鳴らして出てきたのは、冒険者のゾンビたちだった。
武装しており、なかなか厄介そうな相手だが……当然、オーガには遠く及ばない。
シガンは居合いで一体を切り伏せると、続いて二体、三体とゾンビを真っ二つにしていった。
ゾンビたちはシガンの刀で斬られるたびに痙攣して動かなくなっていく。
マヨイガの刀は霊刀なので、アンデッドにはよく効くのである。
「な? 大したことないだろ?」
「シガン様といると常識が崩れていきますね」
「シガンさますっごおい!」
屋敷は右手と左手に分かれている。
なんとなくシガンは左手側に進むことにした。
エントランスから左手に進むと、広々としたリビングに行き当たった。
たくさんの家具に調度品が並ぶ。
ホコリと蜘蛛の巣などがなければさぞ美しいリビングなのだろう。
シガン一行が入ると、突然家具が浮かび上がって飛んできた。
「シガン様、ポルターガイストです!」
「なんでもいいさ」
シガンは居合い一閃。
家具を斬り飛ばした。
家具は完全に沈黙したが、花瓶、棚、ローテーブル、ソファ、と次々に浮かび上がってはシガン目掛けて飛来する。
それらを回避しながらシガンは刀で真っ二つにしていく。
「うわあ、あのソファ高そうなのに……」ベルが後ろ髪を引かれるようにして言った。
「あの家具、売ったらいいお金になっただろうなあ」アティも家具の値段にしか興味はないらしかった。
ひとしきり家具を斬り終えると、リビングはシンと静まり返った。
シガン一行は先へ進むことにした。
『運命の人 ~ギフト『探しもの』はかなりチートでした~』が完結しました!
まだご覧に成ってない方はこの機会に是非どうぞ!
↑間違いです;;
完結はもう少し先です。




