23.幽霊屋敷(1)
その夜。
ベルは普通にシガンを襲った。
横にアティがいるのに、だ。
「おいベル! アティが見ているぞ!?」
「いいんですシガン様。アティもシガン様のご寵愛を受けたいと申していますから」
「おいおいおおい!? さすがに小学生は無理だぞ!!」
「なら、せめて私たちの愛の営みをアティにも見せてあげましょう」
「そ、そんな趣味はねえ!?」
シガンは半裸のベルと、アティに説教した。
せめてアティはベルと同じ14歳になるまで抱かないこと。
ベルとシガンが愛し合うときは別に部屋を取ること。
しかしアティも負けてはいない。
キスまではオッケーだとシガンに約束させた。
こうしてドタバタの夜は終わった。
すったもんだの翌日、シガンとベルとアティは冒険者ギルドにやって来ていた。
今日も今日とてその日暮らし。
しかし銀貨は溜まる一方で、冒険者としてはリッチな部類に入る。
そろそろ新しい刺激が欲しくなって来ていたシガンだった。
オーガ戦もシガンを満足させるものではなかった。
1対1なら満足もできただろうが、ベルとアティが援護していたおかげで楽勝だった。
シガンはいつもは見ない高難易度の依頼を眺める。
ベルとアティは戦々恐々としながら、シガンに問うた。
「まさかシガン様、それらの依頼を受けるつもりですか?」ベルが心配そうに言った。
「シガンさま、そこは危ないから誰も受けたがらない塩漬け依頼なんだよ?」アティが不思議そうな顔で言った。
「ほっほう。丁度いいじゃねえか」
シガンは舐めるように高難易度依頼を確かめていく。
ベルとアティは諦めた。
あのオーガを倒したのだ、シガンがもっと強い相手を求めるのもわからないでもない。
なにより強敵に向かっていくシガンが、ふたりは好きだった。
「これはどうだ?」
「グリフォン!? 駄目ですよそんな危険なの!! シガン様でも無理ですって!!」
「ぐ、グリフォン……シガンさまは恐れを知らない勇者なの?」
「じゃこっちは?」
「なんですこれ。幽霊屋敷の幽霊退治?」
「シガンさま、幽霊って倒せるんですか?」
「倒せるぞ。俺の刀は特別だからな」
カウンターで依頼票の説明を受けることにした。
「ああ、それですか。かなり難易度が高い依頼です。受けるのですか?」
「ああ。具体的にどんな幽霊が出るんだ?」
「……入った冒険は帰ってきていません。報酬は書かれている通り、幽霊屋敷そのものです」
「つまりタダで豪邸を入手できるチャンスじゃないか」
「そう言って帰ってこなかった冒険者たちを、私は数多く見てきましたけどね!」
「よし、これを受けよう」
「…………話、聞いてましたか?」
「俺たちをその辺の雑魚冒険者と一緒にするなよ」
「そうですねえ……確かにシガンさんならやってしまうかもしれません。領主に目をかけられているのにもったいないですが、受けると言った依頼を処理するのが受付嬢の定め……処理しますね」
かくして幽霊屋敷に挑むことになったシガン一行だった。




