17.ゴブリン殲滅作戦(2)
シガンはベルを背後に守りながらゴブリンの集落に突撃した。
あばら家から迎え撃つゴブリンたちを刀で瞬殺していく。
居合いは元々、大学のサークルで学んだものである。
大学で4年間、マヨイガで5年間、合計で9年間も居合いの修行をしていた。
マヨイガに至っては毎日だ。
故に慣れた手付きで納刀し、ゴブリンが現れると同時に居合いの斬撃を叩き込む。
居合いを使うメリットは実はない。
敢えて言うならば初撃の太刀筋を読みづらくするためなので、ゴブリン程度にはもったいない技だ。
それでも適度に納刀して居合いにこだわるのは……。
「グルルルルルルル! ギャアギャア!!」
一回りデカいゴブリン。
肌の色も異なる灰褐色の個体。
間違いない、あれが知恵者だ。
シガンは納刀して、居合いを叩き込む。
しかし知恵者――ゴブリンリーダーは曲刀でシガンの一撃をいなすと、反撃に打って出てきた。
――強い。
シガンの予想を超える強さに、咄嗟に言霊を使う。
「《奴の攻撃は当たらない》」
スウェイバックしたシガンの鼻先をかすめて曲刀は滑るように横薙ぎに振るわれた。
ゴブリンリーダーはゴブリンより一回りほど大きいだけで、つまりまだシガンより小柄だ。
その一撃のリーチはシガンより短い。
言霊の通りにシガンに曲刀の一撃は当たらなかった。
「シガン様っ! ――〈ストーン・ハンマー〉!」
シガンは横に回避すると、背後からベルの〈ストーン・ハンマー〉がゴブリンリーダーの頭部に命中した。
どうやら《ベルの魔法がゴブリンどもを殺しまくる》という言霊が残っていたようだ。
グラリとゴブリンリーダーが揺れる。
脳震盪。
チャンスと見てシガンはゴブリンリーダーに斬りかかった。
銀閃が弧を描く。
ゴブリンリーダーは真っ二つになって死んだ。
「スカジャンのシガンがリーダーを倒したぞ! みんな、残敵掃討に移れ!」
冒険者たちのリーダーがシガンがゴブリンリーダーを倒したことを皆に知らせると、冒険者たちは勢いを増してゴブリンを殺し始めた。
シガンとベルはそれに加わらずに、ゴブリンリーダーの死体の傍で一休みすることにした。
シガンは自分の居合いが通じなかったことに密かにショックを受けていた。
「《俺はゴブリンリーダーの魔石を回収した》」
スカジャンのポケットにズシリとした重みのある石が現れた。
そして曲刀を拾い上げると、戦利品として持ち帰ることにした。
2~3時間が経った後、ゴブリンの集落は壊滅した。




