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  作者: ダル
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目を覚ますと、そこにあったのはシミのついた天井ではなく、白く見慣れない天井だった


ここはどこだろうか、私は何故ここにいるのだろうか


考えようとしても頭は靄がかかったように働かない


眠る前のことが思い出せない


体を起こし、周りを見渡す


部屋には私が今寝ていたベットと照明が一つ、その他には何もない、全てが白い部屋


とりあえずこの部屋を出てみようか


ベットから降り、扉を目指す


この時初めて自分が裸足で、服も制服ではないことに気がついた


床の冷たい感触を味わいながら扉を開ける


先は暗く、左右には同じ扉がいくつか並んでいる


どうやら廊下に出たようだ


廊下の先の扉から明かりが漏れ、話し声が聞こえる


行ってみるしかないか


ノブに手をかける、しかし私が力を入れる前にノブが回り始めた


一瞬目が眩み、ぼやけた視界の先では、彼女がいつもの笑顔で待っていた


「おはよう、茜」


「、、、怜?」


そこにはいつもと違い、制服ではなく部屋着らしき姿の友人がいた


「そうだよ? こっち来て、コーヒー入れるね」


怜はさも当然のように私を部屋に招き入れた


ここは怜の家なんだろうか?


でもなんで私が怜の家にいるの?


怜に導かれ、広いテーブルを囲む椅子の一つに腰かける


そういえば話し声を聞いたはずなのに、部屋には誰もいない


「怜?」


「ん? どうしたの?」


キッチンらしき場所へ消えた怜に話しかける


「ここはあなたの家?」


「うん、そうよ」


「私はなんであなたの家にいるの?」


「、、、」


怜は急に押し黙る、何か思案している雰囲気だ


「怜?」


私が呼び掛けると、怜はカップを両手に持ち、姿を表した


「はい、コーヒー」


「あ、ありがとう、ねえ、怜」


怜は私の対角に座った


「うん、ごめんね、ちょっと待って」


沈黙が流れる


二人ともコーヒーに口をつけないまま、湯気が消える


「茜、今茜は、思い出せないことがあると思うの」


「、、うん」


「それはね、茜にとってとても良くないことなの」


「どうしてそれを怜が知っているの?」


また怜が黙ってしまう


時折誰もいない場所に目を向けては、小さく頷く


「今から茜にはそのことを思い出してもらう、そうすれば大体のことが分かると思う」


「、、、分かったわ、どうすればいいの?」


「手を貸して」


「うん」


言われた通り手を差し出す


怜は私の手をとり、甲に触れながら何かを呟く


「怜?」


声をかけた瞬間、頭に痛みが走り、冴えていく


靄が晴れ、次第に記憶が戻っていく


いつも通り家に帰り、いつも通り扉を開けると、そこには鬼がいた


その鬼は私を襲い、そして、その鬼の首が落ちる


そこにいたのは、怜だ


「大丈夫?」


我に帰る


「うん、大丈夫」


「本当に?」


怜は些か驚いているようだ


確かに、父親が死んだにしては動揺していないのかもしれない


でも、元々あれはもう父ではなかった


「大丈夫よ」


「そう、分かったわ」


怜は改めて話し始めた


「茜が気を失った後、ここに運んできたのは察しがつくと思う」


私は頷く


「でも、それよりも聞きたいことがあると思うの」


また、頷く


「何故茜のお父さんがああなったのか、何故あそこに私がいたのか、そして私と彼は何者なのか、といったところかな」


私が欲している情報はまさにそれだった


正確にはあの男が化け物になったのはどうでもいい、怜について知りたかった


「突拍子もない話になるけど、茜のお父さんは餓鬼になってしまったの」


餓鬼と言えば、ガリガリで腹だけが出ているバケモノ。


「昔から特定の周期の日に出た満月には、人を怪物に変える、と言われているの」


実際に見た以上、疑う必要はない


「そして、それらを駆除する仕事を私はしてる」


「、、、どうやって?」


「それは、」


また私以外の場所に目を向け、頷く


「皆、出てきて」


怜が何もない空間にそう言ったとき、その人達は姿を表した


怜の後ろ、誰も座っていなかった席、部屋の隅、私の隣


性別、年齢、おそらく国も違う人達が七人突如として現れる。


私は存外驚かなかった、おそらく私の中の何かが麻痺していて、驚くための器官が停止しているんだと思う


「私は彼らと契約して、怪物と戦っているの」


「、、この人達は人間じゃないのね」


「ええ、彼らも、そして私も人間じゃない」


怜が人間じゃない?


「どういうこと?」


怜は酷く言い辛そうに口を開く


「私は」


「もういいだろう」


突然、怜の隣に座っていた人が口を挟む


たまに怜の送迎をしていた人、昨日あの男の首をハネた人


「その先を話す必要はない」


「でも、」


「でもじゃない、そもそもお前の話は無闇にするものじゃない。それに言ったところで彼女には何ら関係の無いことだ」


「怜、確かに君の正体を知って困ることになるのは多分彼女だよ?」


私の隣に座っていた青年が同意する


「私はいいと思うのだけれど、お友達なのでしょう?」


茜の隣の席のゴスロリの少女が反論


「彼女にはその権利が有るんじゃないかな?」


部屋の隅にいた、緑色の頭巾を被った少年が続く


「どちらにせよ、決めるのは茜だ」


眼鏡をかけた少年が茜を見据え、皆それに倣う


茜は皆を見回しながら困ったような顔で思案し、やがて口を開いた


「私は

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