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夫婦がいた
坊主頭で強面の、体格のいい男と
長い髪の、儚げな印象の綺麗な女だ
二人には娘がいた
父親に似た正義感と、母に似た美しさを持った子供だった
二人は娘を大層可愛がり、健やかに育てた
娘が九歳の誕生日を迎える日
娘は消えた
半年後、見つかったのは
全身の毛が剃られ、痛々しい痣を抱えた娘の死体だった
男は怒りに身を焦がし、女は哀しみに精神を蝕まれた
更に半年後、見つかったのは
中肉中背、特にこれといった特徴の無い男だったものだ
夫婦は娘を拐かし、殴り、犯した人間をただの肉に変えた
しかし、そこで終わりではなかった
男は腹を捌き、身体に火をつけた
女は数百種類の薬、はたまた毒を、針と共に飲んだ
復讐を果たし、目的を失った末の自殺ではなかった
